恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

ノンアルコールのシャンパンで乾杯すると、日和は窓の外に広がる夜景に目を奪われる。

「素敵ね、空の上のお城に来たみたい。星がすぐ目の前に見える。冬の澄んだ空気にキラキラしてて綺麗」
「そうだな」

日向は、景色に見とれる日和に見惚れた。
微笑んで星空を眺めている日和の横顔は、清らかで美しい。

(俺には日和しかいない。絶対に逃したくない。日和は俺のプロポーズを受け入れてくれるだろうか)

コース料理を味わいながら、日向はだんだん緊張の面持ちになる。

「日向さん、私こんなに豪華なディナーって初めて。半分、夢の中にいるみたい」

デザートを食べ終えると、日和はそう言って可愛らしく笑う。

「いつでもまた来よう。クリスマスも誕生日も、結婚記念日にも」

え……?と、日和が小さく首を傾げる。
日向は真剣に正面から日和を見つめた。

「日和。俺は日和と出逢って、初めて誰かを好きになった。こんなにも心奪われたのは日和だけだ。日和の全てが俺にとっては新鮮で、可愛らしくて守りたくなる。ささやかな幸せや、日常の何気ない楽しさも、全部日和に教えてもらった。日和といれば、俺の毎日は幸せで溢れている。俺はこれからもずっと日和のそばで、日和の笑顔を守りたい。必ず幸せにする。日和、俺と結婚してくれ」

みるみるうちに日和の瞳が涙で潤んでいく。

「日向さん、私……」

声を震わせる日和に、日向はそっと腕を伸ばして日和の手を握った。

「大丈夫。ゆっくりでいいから、返事を聞かせて」
「はい」

日和は肩で大きく息をつくと、真っ直ぐに日向を見つめた。

「私は日向さんが大好きです。お仕事では頼もしくて、話の分からない私にも懲りずに色々教えてくれて。火事の時は真夜中でも駆けつけてくれるスーパーマンで、寂しがり屋の私を抱きしめて頭をなでてくれる時はお兄ちゃんで、今こんなにも素敵な時間をくれるあなたは王子様みたい。どんな日向さんも、私は大好きなの。ずっと一緒にいてください。私、日向さんのお嫁さんになりたいです」

ポロポロと涙を溢れさせる日和に日向は優しく笑いかけ、指先でその涙を拭った。

「世界で一番可愛いお嫁さんだな。結婚しよう、日和。桜の花が咲く頃に」
「はい、日向さん」
「それまでは、日和の指に桜を咲かせるよ」
「え?」

日和は首を傾げて、ぱちぱちと瞬きする。
日向はクスッと笑うとポケットからリングケースを取り出し、日和の左手薬指にそっと指輪をはめた。

「ひ、日向さん!どうしたの?これ」
「よく似合ってる、日和。この2つのピンクダイヤモンドは、桜の花びらなんだって」
「ダイヤモンドの桜?素敵、なんて綺麗なの……」

日和は右手で大事そうに指輪に触れると、涙で潤んだ瞳のまま笑顔を浮かべた。

「ありがとう!日向さん。私の指に桜を咲かせてくれるなんて、魔法使いみたいね」
「ははっ、スーパーマンで魔法使い?」
「そう。あとは、怒りんぼうでジェントルマン!」
「なんだそりゃ?」
「ふふふ、面白いね」

やれやれと日向は苦笑する。
スタッフが花束をそっと日向に渡し、日向は改めて日和に差し出した。

「日和、これからも我が家に花と笑顔を溢れさせてくれ」
「はい。わあ、ありがとう!」

ピンクと白のバラの花束を受け取り、日和は輝くような笑顔を見せる。

(日和のこの笑顔をずっとずっと守っていこう。俺のこの手で必ず)

日向はそう固く心に誓った。