「わっ、どれもキラキラしてすごい……」
ショーケースの中の指輪を見ながら、日和は圧倒されたように呟く。
日向は日和に似合いそうな婚約指輪を、スタッフにいくつか取り出してもらった。
「日和、はめてみて」
「え、あ、はい」
スタッフが日和の指のサイズを測り、ビロードのケースに載せた指輪を差し出す。
日和はそっと指輪を手にすると、戸惑いながら「ここ？」と左手の薬指を差して日向に尋ねた。
「もちろん」
日向がにっこり笑って頷くと、日和は観念したようにゆっくりと左手薬指に指輪をはめる。
「わあ、綺麗……」
顔の前に手を掲げて、日和はうっとりとダイヤモンドの輝きに見とれた。
「でもこんなに大きなダイヤモンド、私には不釣り合いでなんだか気後れします」
「そんなことはない。けど、そうだな。この立て爪は日和のイメージとは違うかな」
他の指輪を探し始めた日向は、ふと目についた指輪をスタッフに指差した。
「これも見せていただけますか？」
「かしこまりました。こちらは中央のダイヤモンドを留める爪を、花びらのように見立てたカラーダイヤでデザインしています。特にこのピンクダイヤモンドは、桜の花びらをイメージしています」
「桜を？」
スタッフが取り出した指輪を、日向はじっと見つめる。
大きなダイヤモンドの両サイドに、小さくピンクの花びらが添えられていた。
（可愛らしいな。日和のイメージにぴったりだ）
日向は顔を上げて日和を探す。
少し離れたところで別のスタッフと話している日和を呼ぼうとして、ふと思いとどまった。
（この指輪以外考えられない。これを俺の愛の証として日和に贈りたい）
そう心に決めると、「これにします」とスタッフに告げた。
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
スタッフがカウンターの後ろに姿を消すと、日向はスマートフォンを取り出し、近くのラグジュアリーなホテルのフレンチレストランを予約する。
花束の手配と、出来れば個室を、とお願いした。
やがてスタッフが綺麗にラッピングしたリングケースを持って戻って来る。
クレジットカードで支払いを済ませると、リングケースをスーツのポケットに入れて日和に声をかけた。
「日和、また今度改めて選びに来ようか」
「はい、分かりました」
二人でスタッフに会釈してから店を出る。
「お腹減っただろ？夕食食べて帰ろう」
「はい」
気軽に返事をした日和は、連れて来られたホテルの最上階のレストランに驚いて日向に耳打ちした。
「日向さん、こんなところ私、場違いじゃない？」
「全然。日和のそのワンピース、よく似合ってる。髪型もメイクも大人っぽいし」
ネイビーのワンピース姿の日和と、フォーマルなスーツ姿の日向は、高級感溢れるフレンチレストランの雰囲気にも溶け込む。
レセプションで「佐野です」と告げると、希望通りの個室に案内された。
「ひ、日向さん。すごいね。宮殿のお部屋みたい」
ふかふかの絨毯の上を夢見心地で歩く日和に、日向は目を細める。
腕に掴まらせた日和の手に自分の手を重ねて、ギュッと握りしめた。
ショーケースの中の指輪を見ながら、日和は圧倒されたように呟く。
日向は日和に似合いそうな婚約指輪を、スタッフにいくつか取り出してもらった。
「日和、はめてみて」
「え、あ、はい」
スタッフが日和の指のサイズを測り、ビロードのケースに載せた指輪を差し出す。
日和はそっと指輪を手にすると、戸惑いながら「ここ？」と左手の薬指を差して日向に尋ねた。
「もちろん」
日向がにっこり笑って頷くと、日和は観念したようにゆっくりと左手薬指に指輪をはめる。
「わあ、綺麗……」
顔の前に手を掲げて、日和はうっとりとダイヤモンドの輝きに見とれた。
「でもこんなに大きなダイヤモンド、私には不釣り合いでなんだか気後れします」
「そんなことはない。けど、そうだな。この立て爪は日和のイメージとは違うかな」
他の指輪を探し始めた日向は、ふと目についた指輪をスタッフに指差した。
「これも見せていただけますか？」
「かしこまりました。こちらは中央のダイヤモンドを留める爪を、花びらのように見立てたカラーダイヤでデザインしています。特にこのピンクダイヤモンドは、桜の花びらをイメージしています」
「桜を？」
スタッフが取り出した指輪を、日向はじっと見つめる。
大きなダイヤモンドの両サイドに、小さくピンクの花びらが添えられていた。
（可愛らしいな。日和のイメージにぴったりだ）
日向は顔を上げて日和を探す。
少し離れたところで別のスタッフと話している日和を呼ぼうとして、ふと思いとどまった。
（この指輪以外考えられない。これを俺の愛の証として日和に贈りたい）
そう心に決めると、「これにします」とスタッフに告げた。
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
スタッフがカウンターの後ろに姿を消すと、日向はスマートフォンを取り出し、近くのラグジュアリーなホテルのフレンチレストランを予約する。
花束の手配と、出来れば個室を、とお願いした。
やがてスタッフが綺麗にラッピングしたリングケースを持って戻って来る。
クレジットカードで支払いを済ませると、リングケースをスーツのポケットに入れて日和に声をかけた。
「日和、また今度改めて選びに来ようか」
「はい、分かりました」
二人でスタッフに会釈してから店を出る。
「お腹減っただろ？夕食食べて帰ろう」
「はい」
気軽に返事をした日和は、連れて来られたホテルの最上階のレストランに驚いて日向に耳打ちした。
「日向さん、こんなところ私、場違いじゃない？」
「全然。日和のそのワンピース、よく似合ってる。髪型もメイクも大人っぽいし」
ネイビーのワンピース姿の日和と、フォーマルなスーツ姿の日向は、高級感溢れるフレンチレストランの雰囲気にも溶け込む。
レセプションで「佐野です」と告げると、希望通りの個室に案内された。
「ひ、日向さん。すごいね。宮殿のお部屋みたい」
ふかふかの絨毯の上を夢見心地で歩く日和に、日向は目を細める。
腕に掴まらせた日和の手に自分の手を重ねて、ギュッと握りしめた。
