恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

買い物を済ませると、女子の好きそうなカフェでランチを食べることにした。

「日和、デザートにパンケーキもあるぞ」
「ほんとだ!食べてもいい?」
「どうぞ」

二人で会話する度に、椿はニヤニヤと笑いかけてくる。

「なんだよ?椿」
「別にー?ね、それよりひよちゃん。その幼馴染のドクターの結婚式は、一人で行くの?心配だわ、変な男に連れて行かれたりしたら」

途端に日向はギクリとした。

(確かに、あんなに可愛いワンピース姿の日和を一人で行かせるなんて。俺としたことが、なぜ今まで考えもしなかった?)

すると日和がにこっと笑う。

「大丈夫です。家族ぐるみのつき合いなので、田舎の両親も招待されてますから」
「あら、そうなのね。それなら安心だわ。ね、日向」

日向はコクコクと頷いた。
そしてふと思い立つ。

「日和、ご両親は結婚式のあと都内に宿泊されるの?」
「はい、そうです」
「それなら、少し時間を作っていただけないだろうか?ご挨拶させてほしい」
「え?」

日和は首を傾げるが、椿は目を見開いて口元に手をやった。

「ひ、日向!まさか……」

そう言った切り、椿は言葉もなく息を呑む。

「日和のご両親に、日和との真剣なおつき合いをお許しいただきたいんだ」
「日向さん、そんな。つき合うのに親の許可なんていりませんから」
「いや。遠く離れて暮らす日和のことを、ご両親はいつも心配されていると思う。つき合っている男がどんなやつか、きっと気になって仕方がないはずだから」
「日向さん……」

日和はしばらく考えてから頷いた。

「ありがとうございます。両親も、きっとその方が安心ですよね」
「ああ。誠心誠意、俺は日和を大切にするとご両親に誓うよ」
「そんな……。ありがとうございます」

目を潤ませる日和に、日向は優しく微笑む。
その時、我慢の限界とばかりに椿がガバッとテーブルに突っ伏した。

「はあー、もう、やられたー。感動して涙が出ちゃう。なんて尊いの、あなた達って。眩しくて直視出来ないー」

そして顔を上げると、ガシッと日和の手を握る。

「幸せになるのよ、ひよちゃん。大丈夫、今まで偏屈だった日向にここまで言わせたんだもの。ひよちゃんのことは、必ず日向が幸せにするからね!」
「はい。ありがとうございます、椿さん」

二人がしっかと手を取り合うと、日向はやれやれとため息をついた。

「俺を差し置いて勝手に盛り上がんな」
「あ、ごめんごめん。なんか感動しちゃって、嬉しくてついね」

椿に笑いかけられて、日和も笑顔を返す。
そんな二人に、日向も思わず頬を緩めていた。