恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「日和、もう遅いから泊まっていけ」

食事を終えるとソファでコーヒーを飲みながら、日向は日和に声をかけた。

「はい、じゃあそうしようかな」
「ああ。先に風呂どうぞ。もう沸いてるから」
「ありがとうございます」

肩を抱き寄せてチュッとキスをすると、日和は真っ赤になって立ち上がる。

「じゃあ、お先に」

そそくさとバスルームに向かう日和に、日向は笑みをもらした。
が、ふと真顔になって考える。

(社会人1年目の23歳か。日和にとってはまだ早いのだろうか)

自分としては、日和と結婚するつもりだ。
だが日和にそう切り出すのは、まだ早いのかもしれない。
少しずつ日和の気持ちに寄り添いながら、考えていきたい。

(けど俺の理性がどこまでもつか……)

日向はこれまでの自分では考えられないほど、日和に心奪われていた。
恋人と四六時中一緒にいるなんて、息が詰まって絶対に無理だと思っていたのに、日和のことはずっと腕の中に閉じ込めておきたくなる。
会社で「ひよちゃん」と男性社員が呼ぶ度に、気が気ではなかった。

抱きしめて押し倒し、身も心も奪いたい。
だが今の日和には受け止め切れないだろう。
戸惑わせ、怖いと感じさせてしまうかもしれない。
そんなことはしたくなかった。
大切に大切に、日和を心から愛したい。
そう思い、なんとか己の欲望を押さえつけていた。

(だけど、結婚の意思は伝えたい。プロポーズを先にしよう)

それなら許されるだろうか。
日和は頷いてくれる?
いや、もし断られても諦めない。
自分にとって結婚相手は日和しか考えられないのだから。

(何度でもプロポーズする。日和を幸せにするのはこの俺だ)

日向はそう固く心に決めた。