恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「佐野さん、今日は案内してくださってありがとうございました」

お店を出ると、日和は嬉しそうに紙袋を手に日向にお礼を言う。

「どういたしまして。こんなに喜んでもらえて俺も嬉しい」
「はい。フラワーアレンジメント教室に通う楽しみも増えました。早速今週末お願いしようかな。あ、平日の仕事終わりでもいいかな」

わくわくした様子で日和は歩き出す。

「ん?宇野、どこに向かってる?そっちは駅だぞ」
「えっ、ほんとに?」

途端に真顔に戻り、日和はスマートフォンを取り出した。
日向はため息をつくと、日和の手からスマートフォンを取り上げる。

「これはしまって」
「え?」
「スマホぐるぐる回しても、たどり着けない」
「あ、はい」

日和がスマートフォンをバッグに入れると、日向は日和の手を取って歩き始めた。

「あの、佐野さん?」
「なんだ」
「私、一人で歩けます」
「人が多くて危なっかしい。ぶつかって陶器が割れたら困る」

赤くなっているであろう顔を見られまいと、日向は日和の手を引いて少し前を歩く。
思わず繋いでしまった手を、離そうにも離せなくなっていた。

(あんなににこにこされたら、たまらんだろ)

フラワーショップでの日和の笑顔は、とにかく可愛かった。
あのままあの笑顔を自分に向けらたら、その場でギュッと抱きしめてしまったかもしれない。

お店を出たところで別れても良かったのに、少しでも一緒にいたくて、道案内を建て前に日和をマンションまで送ることにした。

(もう認めるしかないか、こいつを好きだって)

そう思った途端、ますます顔が火照ってきた。

「佐野さん、わざわざうちまですみせんでした」
「いや。じゃあ、おやすみ」

日和のマンションに着くと、日向はうつむいたままそそくさと背を向ける。
とにかく赤い顔を見られてはいけなかった。

「あの、佐野さん。よかったら夕食を食べていきませんか?せめてものお礼に」
「えっ、いいのか?」

思わず顔を上げて振り返ってしまう。

「はい。いつものパッとしないメニューでよければ」
「うん。あの名前のない料理がいい」
「ふふっ、分かりました。佐野さん、身体が冷えちゃいましたか?顔が赤いです。今夜は肌寒いですもんね。早くお部屋に行きましょ」
「ああ、うん」

ドギマギしながら、日和のあとをついて部屋に上がった。