「じゃあね、ひよちゃん。またね!」
「はい。今夜はありがとうございました、椿さん」
居酒屋を出ると、タクシー2台に別れて乗る。
慎一は椿を、日向が日和を送って行くことになっていた。
「日向、がんばれよー」
慎一は意味ありげにそう言い残す。
(何をがんばるっていうんだ)
日向は走り出したタクシーの中で小さくため息をついた。
ふと隣を見ると、日和は楽しかった余韻に浸るように微笑んで窓の外を見ている。
(今日は寝ないんだな)
うとうとし始めたら肩にもたれさせようと思っていたのに、どうやら今夜は目が冴えているらしい。
タクシーを降りたら部屋まで送るつもりだったが、この調子なら一人でスタスタ去って行きそうだった。
(ひとり暮らしも、寂しくなくなったのか?)
そう思っていると、視線を感じたのか、ふと日和が振り返った。
ん?と言うように小首を傾げて見上げてくる。
(か、可愛い……)
日向は思わず赤くなり、慌てて視線を伏せた。
「そう言えば、佐野さん」
「はい、なんでしょう?」
身を固くしてハキハキと答える。
「アメリカンブルーのお花を株分けしたいんです。あの陶器の鉢置きはどこのお店にありますか?もう一つ買い足したくて」
「あ、えっと、あなたのマンションの最寄り駅からすぐの所です」
「そうなんですね?どこだろう。明日探してみます」
日和はにこっと笑うと、再び窓の外を眺め始めた。
(なんだ?いつの間にこんなに綺麗になった?)
以前は年下の妹みたいな存在だったのが、今は見とれるほど大人っぽい。
(恋でもしてるのか?まさか!奥田先生に?)
今日、誕生日プレゼントをもらったお礼に、部屋に帰ってからメッセージでも送るつもりなのだろうか。
(だから眠くならないし、寂しそうでもないのか)
日向はガックリと肩を落とす。
やがて日和のマンションに着くと、日向はタクシーを降りて日和と向き合った。
「佐野さん、送ってくださってありがとうございました」
「いや、お疲れ様。ゆっくり休んで」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
日和は優しく微笑むと、くるりと向きを変えて歩き出す。
「あのさ!」
思わず呼び止めてから、日向はしまったと顔をしかめた。
何を言おうとしたのか、自分でも分からない。
だが、どうしても日和をそのまま行かせたくなかった。
「どうかしましたか?」
「いや、うん。……そうだ!明日フラワーショップに案内しようか?ほら、お前ってスマホの地図読めないだろ?」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろん」
「良かった!実は見つけられる自信がなくて。駅の近くにお花屋さんなんてあったかなって、ずっと考えてたんです」
日和の嬉しそうな笑顔に、日向はまたしても見とれてしまう。
「じゃあ、明日の仕事終わりに一緒に行こう」
「はい、ありがとうございます」
もう一度、おやすみなさいと挨拶して、日和はエントランスに入る。
その姿が見えなくなるまで、日向はその場に佇んで見送っていた。
「はい。今夜はありがとうございました、椿さん」
居酒屋を出ると、タクシー2台に別れて乗る。
慎一は椿を、日向が日和を送って行くことになっていた。
「日向、がんばれよー」
慎一は意味ありげにそう言い残す。
(何をがんばるっていうんだ)
日向は走り出したタクシーの中で小さくため息をついた。
ふと隣を見ると、日和は楽しかった余韻に浸るように微笑んで窓の外を見ている。
(今日は寝ないんだな)
うとうとし始めたら肩にもたれさせようと思っていたのに、どうやら今夜は目が冴えているらしい。
タクシーを降りたら部屋まで送るつもりだったが、この調子なら一人でスタスタ去って行きそうだった。
(ひとり暮らしも、寂しくなくなったのか?)
そう思っていると、視線を感じたのか、ふと日和が振り返った。
ん?と言うように小首を傾げて見上げてくる。
(か、可愛い……)
日向は思わず赤くなり、慌てて視線を伏せた。
「そう言えば、佐野さん」
「はい、なんでしょう?」
身を固くしてハキハキと答える。
「アメリカンブルーのお花を株分けしたいんです。あの陶器の鉢置きはどこのお店にありますか?もう一つ買い足したくて」
「あ、えっと、あなたのマンションの最寄り駅からすぐの所です」
「そうなんですね?どこだろう。明日探してみます」
日和はにこっと笑うと、再び窓の外を眺め始めた。
(なんだ?いつの間にこんなに綺麗になった?)
以前は年下の妹みたいな存在だったのが、今は見とれるほど大人っぽい。
(恋でもしてるのか?まさか!奥田先生に?)
今日、誕生日プレゼントをもらったお礼に、部屋に帰ってからメッセージでも送るつもりなのだろうか。
(だから眠くならないし、寂しそうでもないのか)
日向はガックリと肩を落とす。
やがて日和のマンションに着くと、日向はタクシーを降りて日和と向き合った。
「佐野さん、送ってくださってありがとうございました」
「いや、お疲れ様。ゆっくり休んで」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
日和は優しく微笑むと、くるりと向きを変えて歩き出す。
「あのさ!」
思わず呼び止めてから、日向はしまったと顔をしかめた。
何を言おうとしたのか、自分でも分からない。
だが、どうしても日和をそのまま行かせたくなかった。
「どうかしましたか?」
「いや、うん。……そうだ!明日フラワーショップに案内しようか?ほら、お前ってスマホの地図読めないだろ?」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろん」
「良かった!実は見つけられる自信がなくて。駅の近くにお花屋さんなんてあったかなって、ずっと考えてたんです」
日和の嬉しそうな笑顔に、日向はまたしても見とれてしまう。
「じゃあ、明日の仕事終わりに一緒に行こう」
「はい、ありがとうございます」
もう一度、おやすみなさいと挨拶して、日和はエントランスに入る。
その姿が見えなくなるまで、日向はその場に佇んで見送っていた。



