恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「既にこちらの病院でも、弊社が手がけた医療機器を導入していただいてますが、使い心地はいかがでしょうか?」
「ええ、とてもいいですよ。コロナ禍でオンライン診療や遠隔診療が容認されて、御社の色補正技術には大いに助けられました。なにせ画像データの色が診断の要ですからね。離れた場所にいる放射線科の医師が正確に診断することも可能になりました。遠隔医療は今後ますます拡大すると思います」
「はい。弊社といたしましても、これまで以上に医療の現場に貢献していきたいと考えております。従来の画像データの自動解析に、3D画像表示やAIの学習機能を加え、精度を向上させた新たなシステムを開発していく所存です。どうかお力添えをお願いいたします」

日向と日和は深々と頭を下げる。

「こちらこそ、よろしくお願いします。御社の技術は素晴らしく、我々医師も信頼して診断を下せます。これからもどうかサポートしていただきたい。我々に出来ることは何でもお手伝いさせてもらいますよ」
「ありがとうございます。今後はシステム開発の担当者がこちらに赴きますので、実際の画像を補正したデータをフィードバックしていただければと存じます」
「承知しました。私は時間が取れないことが多いので、主に奥田先生とやり取りしてください」
「はい。どうそよろしくお願いいたします」

今日のところはこれで、と打ち合わせを終えて席を立つ。
ロビーの出口まで奥田に案内された。

「それでは佐野さん、今後ともどうそよろしくお願いいたします」
「こちらこそ。またご連絡いたします」
「はい、お待ちしています。じゃあな、日和」

うん!と答える日和の横で、日向はまたしてもピクリと反応してしまう。

(日和はだめだ。どうしてもだめ!)

論理的な考えもどこへやら、日向はそればかり頭の中で唱えていた。