「佐野さん、スマホ決済のアプリって引き継ぎ出来るんでしょうか?」
園内のカフェでランチを食べていると、日和が思い出したように尋ねた。
「ああ、アカウントが生きてれば大丈夫だと思う。やってみようか?」
「はい!よろしくお願いします」
「スマホ貸してみ。ログインIDとパスワード、分かるか?」
「IDはhiyoriunoで、パスワードはhiyori1014です」
「え、ちょっと。なんて安直な。フルネームに、名前と誕生日か?」
「はい。全部これで通してます」
「やめろ!もっと強力なのにしろ」
「でもそしたら忘れちゃいますもん」
「メモしろ!それは何の為のメモ帳だ?」
すると日和は、ツンと顎を上げる。
「いつものメモ帳は焼けちゃいましたもん。もし覚えられない難しいパスワードにしてたら、私、色々途方に暮れちゃうとこでしたよ?」
「あ……、まあ、そうか」
日向はそれ以上は強く言えず、アカウントの引き継ぎを済ませた。
「はい、出来たぞ」
「ありがとうございます!わあ、残高ちゃんと残ってる。860円!」
ガクッと日向は肩を落とす。
ふと思いつき、自分のスマートフォンを取り出すとサクサクと操作して、日和のメッセージアプリを経由して1万円送金した。
「あれ、お金が増えた!どうして?どういうこと?佐野さん、これってオレオレ詐欺かな?」
「大丈夫だよ。俺が送ったんだ」
「やっぱりオレオレ詐欺?」
「違うっつーの!ほら、もう行くぞ」
「あ、はい」
日和は首を傾げつつ、スマートフォンをバッグにしまって立ち上がった。
園内のカフェでランチを食べていると、日和が思い出したように尋ねた。
「ああ、アカウントが生きてれば大丈夫だと思う。やってみようか?」
「はい!よろしくお願いします」
「スマホ貸してみ。ログインIDとパスワード、分かるか?」
「IDはhiyoriunoで、パスワードはhiyori1014です」
「え、ちょっと。なんて安直な。フルネームに、名前と誕生日か?」
「はい。全部これで通してます」
「やめろ!もっと強力なのにしろ」
「でもそしたら忘れちゃいますもん」
「メモしろ!それは何の為のメモ帳だ?」
すると日和は、ツンと顎を上げる。
「いつものメモ帳は焼けちゃいましたもん。もし覚えられない難しいパスワードにしてたら、私、色々途方に暮れちゃうとこでしたよ?」
「あ……、まあ、そうか」
日向はそれ以上は強く言えず、アカウントの引き継ぎを済ませた。
「はい、出来たぞ」
「ありがとうございます!わあ、残高ちゃんと残ってる。860円!」
ガクッと日向は肩を落とす。
ふと思いつき、自分のスマートフォンを取り出すとサクサクと操作して、日和のメッセージアプリを経由して1万円送金した。
「あれ、お金が増えた!どうして?どういうこと?佐野さん、これってオレオレ詐欺かな?」
「大丈夫だよ。俺が送ったんだ」
「やっぱりオレオレ詐欺?」
「違うっつーの!ほら、もう行くぞ」
「あ、はい」
日和は首を傾げつつ、スマートフォンをバッグにしまって立ち上がった。



