恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

***

(んー、もう朝か)

カーテンから射し込む日射しに、日向はぼんやりと目を開ける。
腕に抱いたジョリーの頭をなでながら、いつものようにチュッとキスをした。

(……え?)

ジョリーとは違う感触に、ようやくハッと我に返る。

(ジョリーじゃない、宇野だ!)

ジョリーは実家にいる白くてふわふわの大きな犬で、毎晩一緒に眠っていた。

(だからって間違えるなんて。ここは、寝室か。酔っ払っていつもの癖が出たな)

日和の「ちゃんとベッドで寝てくださいね」という言葉が頭に残っていたのかもしれない。
それにしても、この状況をなんとかしなくては。

(落ち着け。宇野はよく眠ってる。きっと気づいてないんだろう。そっと抜け出せばバレないはず)

日向はゆっくりと日和から離れると、静かにベッドを降りる。

(よし、大丈夫だな)

日和がよく眠ったままなのを確かめると寝室を出て、書斎として使っている部屋に入る。

(はあ、危なかった。それにしても宇野をジョリーと間違えるなんて。俺ジョリーにはいつも、わしゃわしゃチューしてるけど、まさか宇野にも?)

そう考えた途端、顔が真っ赤に火照るのが分かった。

(さっき、しちゃった?チュッて。いや、気のせいだ。うん、そうに違いない)

己に言い聞かせると気持ちを切り替えてバスルームに向かい、シャワーを浴びた。