恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「じゃーん!見てこのワンピース。可愛いでしょ?」

寝室に行くと、椿は日和にペイルピンクのフェミニンなワンピースを広げて見せた。

「わあ、素敵ですね」
「でしょ?私にはもう可愛すぎるけど、ひよちゃんならピッタリ!よかったらもらってね」

え、は、はい?と、日和は動揺を隠せない。

「椿さん、これって?」
「私が着られなくなった服を持って来たの。お古でごめんね。取り敢えずこれでしのいで。新しい服は、このあと買いに行くから」
「え、ええ!?」

戸惑う日和をよそに、椿は紙袋の中から次々と服を取り出した。

「ブラウスにスカートに、これは部屋着ね。それからスニーカーとサンダル。あと下着はコンビニで適当に買って来たの。化粧品と歯ブラシはこれ。早速着替えてみて」
「え、あの?」

押し切られて、日和は手渡されたワンピースを着てみる。

「やーん、可愛い!いつものスーツ姿とは大違い!ね、ひよちゃん、ヘアメイクもやらせて」

日和をベッドに座らせると、椿は嬉々としてメイク道具を並べた。

「うんとラブリーな感じにしちゃお。うひひ!」

うひひ?と日和は眉根を寄せる。
椿は慣れた手つきで日和の顔にメイクを始めた。

「お目々パッチリのー、まつ毛クルルンのー、ほっぺツヤツヤのー、唇ウルルン!」

出来た!と、椿は嬉しそうに笑う。

「あとは髪型ね。ひよちゃんはふんわりボブだから、そうね。サイドをねじって後ろでまとめて……、軽くほぐしたら完成!」

椿は満足気に笑うが、鏡を見ていない日和はなんとも不安になる。

「あの、椿さん。こんな可愛らしいワンピース、私に似合いますか?」
「合う合う!もちろんよ。じゃあさ、早速日向に見せに行こっ!」
「ええ!?」

椿に手を引かれてリビングに行くと、椿はグイッと日和の背中を押した。

「日向ー、どう?ひよちゃん」
「ん?」

ソファでパソコンを開いていた日向が顔を上げる。
と、日和を見るなり驚いたように固まった。

「あの、やっぱり、変ですよね」

慌てて椿の影に隠れようとすると、椿は日和の肩に手を置いて更に前へと押しやる。

「違うって。日向、ひよちゃんに見とれちゃってんのよ。ねー?」

すると日向は、ハッと我に返って目を伏せた。

「ふふっ、図星だ」
「……うるさいな。違うわ」
「じゃあ何よ?」
「別に、普通だ」
「うわー、言い訳も思いつかない日向なんて初めて」
「だから、何もないってば」

はいはい、と椿は嬉しそうに聞き流す。

「ね、日向。ひよちゃんと一緒にショッピングモールに行きたいの。車で送ってくれない?」
「えっ、椿さん!そんな……」

日和が慌てて止めるが、椿は平然と続ける。

「ひよちゃんの新しいスマホも買いに行かなきゃいけないしさ」
「ああ、そうだな。よし、行くか」
「やったー!ひよちゃんとお買い物ー!」

戸惑う日和を尻目に、二人は出かける準備を始めた。