「あぁ。このミッションに参加しているのは俺たちだけじゃない。ってことは、同じような経験をしている人がいるってことだと思うんだ」

昇が言う通り、【R‐リアル】内で投稿されている動画は数多くある。
それだけの人が参加しているということなんだ。

それから私達は近くの公園に移動して、3人並んで木製ベンチに座った。
どこか屋内に入りたかったけれど、制服姿だとどうしても目立ってしまうから、仕方ない。

ベンチに座った昇はすぐにスマホを取り出して検索画面を表示させた。
《【R‐リアル】経験者》と打ち込んでタップすると、今まさにミッションに参加している人のSNSが表示された。

プロフィールを確認してみると地元の大学生の男性だということがわかった。
ハンドルネームは洋太と書かれているから、本名かもしれない。

【R‐リアル】からの通知内容や、クリアできた経緯などの書き込みが多いみたいだ。
「この人まだミスしてないみたいだな」
昇が興奮気味に言う。

万引の指示があったときには、友人の両親が経営しているコンビニに協力してもらい、万引風の動画を撮影したみたいだ。

もちろん、撮影後に商品は元に戻したらしい。