「今スマホを持ってないってことか?」
全部の話を聞き終えてから昇が深刻そうな表情になって質問してきた。

「うん。取り上げられたまだよ」
私は頷く。
いつまでスマホを取り上げられているかはわからない。

その間私は【R‐リアル】からのミッションに応えられないことになる。
「まずいよそれ。どんどんミスが増えちゃうじゃん」

知里は青ざめている。
「だから、お父さんにはスマホを壊してって言っておいたの。でもたぶん、それは無視されてる」

両親は私からスマホを引き離すことで妙な思い込みがなくなると考えているだろう。

だからスマホを壊すようなことまではしないはずだ。

スマホはまだ家の中の、おそらく両親の寝室のどこかにあるはずだ。
「それなら早く取り戻さないと。今日はまだ通知が来てないから、まだ間に合う!」

「取り戻すって、今から家に戻るの?」
「それしかないだろ」