けれど美穂はあっという間に階段を駆け下りて姿が見えなくなってしまったのだ。
運動が苦手な美穂からは想像できないほどの速さに唖然として立ち止まる。

「どこに行ったんだ?」
息を切らしながら昇が聞いてくる。
私は首を左右にふって「わからない」と、答えたのだった。