「悪い悪い。別に知里のことを言ってるわけじゃなくてさ。実際に授業中にスマホの音が鳴ったときもあるだろ」

昇の言う通り授業中に着信音が聞こえてきたことは何度もある。
その度に注意するのも疲れたのか、先生は授業を止めることなく進めている。

「だからってこんな変なゲームに参加しなくっても……」
「大丈夫だよ瞳。一緒にやろうよ」

渋っている私の腕にすがりつくようにして知里が言う。
大きな目に見つめられてお願いされると断りづらくなってしまって、口ごもった。

「知里もスマホの電源つけて。マナーモードにしてスカートのポケットに入れておけば自分だけ通知に気がつけるから」

「ちょっと美穂。知里に余計なことを教えないでよ」
と、注意してももう遅い。

知里はせっかくしまっていたスマホをカバンから取り出して言われたとおり電源を入れてしまった。

「これで決まりだな。この4人でゲームに参加する。うまくいけば一千万円!」
昇の非現実的な言葉に私は大きくため息を吐き出したのだった。