「どうする? このミッションをやるかやらないか」
昇の質問に私は答えられなかった。

正直ミッションなんてもうどうでもいいという気持ちにもなっている。
菅原先生が死んだという衝撃が脳の大半を支配してしまっていた。

「やりたくないけど、やったほうがいいような気がしてる」
そう言ったのは意外にも知里だった。

声を震わせているもののその表情には危機感がある。
「どうしてそう思うの?」
「なんとなくだけど【R‐アプリ】が危険な気がしてるの」

私の質問に歯切れ悪く答える知里。
危険とはどういう意味なのか?
質問しても知里は「なんとなく、そう感じるだけ」と答えるばかりだった。

だけど昇はその意見を尊重したようで、空き地へと入っていった。

この季節にカエルを見つけるのは難しいと思っていたが、草木の下をさぐってみると、すぐに小さなカエルを見つけることができた。

「もう時間がない。俺がスマホ3台で同時に撮影するから、そのカエルを踏み潰すんだ」
昇にそう言われてもどうしても躊躇してしまう。