「噂は噂だよ? だけど、学校内で流れている噂に比べれば信憑性はあると思う」
「たしかに、発狂していたっていうのはおかしいもんね? そこは尾ひれがついてるのかも」

知里の意見に私も賛成だった。
女性たちは菅原先生が変なクスリでもしていたんじゃないか。

なんて言っていたけれど、学校内の先生を見ていればそんなことはしていなかったと言い切れる。

結局、どうして事故に遭ったのか、という点はわからないまま
だ。
そうして学校が見えてきたときだった。
曲がり角から中条先輩が現れて、思わず「あっ」と声をあげていた。
中条先輩も驚いたように目を丸くしている。

「こんなところで会うなんて偶然だな」
5人になって歩きながら中条先輩が言う。

とはいえみんなの行き先は同じで、授業開始時間もおなじなのだからバッタリ会うことがあっても不思議じゃない。

「昨日、君は菅原先生の葬儀に行ったのか?」
「はい。行ってきました」

「そっか。僕は行けなかったから残念だよ」
歩きながら視線を落とす中条先輩になんと声をかければいいかわからない。

自分だけ葬儀に行ってごめんなさい、なんて違う気がする。
しばらく無言のままで歩いたとき、全員のスマホが同時に震えた。