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翌日になると少しだけ気持ちの整理がついていたのでいつも通り起き出して制服に着替えをした。

「瞳、大丈夫なの?」

クラス委員長になってから早退なんて1度もしたことのなかった私を、お母さんが心配してくれている。

「大丈夫だよ。昨日は慣れないことをしてちょっと疲れただけだから」
そう答えてテーブルの席に座る。

テーブルの上にはすでに焼き鮭とお味噌汁が用意されていて、とてもいい香りがしている。

それなのにあまり食欲は湧いてこなくて、ご飯は半分も残してしまった。
「車には気をつけるんだぞ」

菅原先生が死んだ理由が事故だったともう知っているのか、お父さんが普段は言わないようなことを言ってきた。

「わかった。言ってきます」
カバンを持たない朝は背中がやけにやるくて、妙な気分だった。