その知識はあったけれど、私はまだ参加したことがなかった。
「だからさ瞳、私たちのぶんまでちゃんと先生にお別れしてきてよね」

美穂に背中を叩いてそう言われ、私はようやく頷いた。
クラスの代表として行くなら、ちゃんとしなきゃいけない。

「先生、どうして急に死んだんだろうな」
深刻そうな声に振り向けば、いつの間にか昇が登校してきていた。
これでようやくいつもの4人が揃ったことになる。

菅原先生が急にいなくなったみたいに、この中の誰か一人がいなくなるのは嫌だな。
そんなことを考えてしまう。

「なにもわからないよ。だから明日の葬儀のとき、なにか話が聞けたらいいなって思ってるんだけど」

美穂がそう言いながら私を見た。
「憶測ばっかりじゃなにもわからないもん。このままじゃわたしも嫌」

知里はそう言って涙をこらえるように下唇をかみしめた。
「話か……そんな雰囲気じゃないと思うけど、なにか聞けたら聞いてみる」

菅原先生と急接近したのは【R‐アプリ】を始めてからだから、ごく最近だ。
それでも菅原先生の気さくな性格が魅力的だった。

先生なんだけど、先生らしくない距離感も好きだったのに。
思い出すとジワリと目尻に涙が浮かんできて、慌ててそれを指先でぬぐったのだった。