五十嵐花子とその母親が消えた時刻、病院では知里と洋太さんが目を覚ましていた。

ふたりとも大怪我だったはずだけれど、驚くほどの回復力で一週間後には退院することができていた。

そのときそばにいた医師たちはみんな奇跡だと目を丸くしていた。
そして今日も私達たち３人は並んで学校へ向かっている。

「今日の宿題やった？」
「やってねぇ、瞳写させてくれよ」
「そんなことだろうと思った。でも写させないからね」

「なんでだよ、いいだろ！？」
「提出までに自分でやりなさい。これはクラス委員長からの命令だからね」

そんな私達を見て知里が笑う。
そのとき、高校の制服を来た女子生徒ふたりをすれ違った。
ふたりとも片手にスマホを持っていてなにやら騒いでいる。

「これ最近流行ってるアプリでさぁ」
「あ、知ってる！　時間内に指示に従うやつね！」

「そうそう。【R‐‐リアル】っていうアプリでね」