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昼休憩中や放課後になると校舎裏の池に生徒たちが集まっていることがある。

けれど今みたいに授業と授業の間にここまで来る生徒はほとんどいないはずだった。

「あれ、誰?」
思わずつぶやく。

私達4人が池に近づいたとき、そこに見知らぬ男子生徒が立っているのが見えた。

どうやら鯉に餌をやっているみたいだ。
こんな時間に餌やりなんて珍しい。
そう思いながら近づいていくと相手もこちらに気がついて振り向いた。

そのとき胸の青いネクタイが見えて「あっ」と昇が声を上げる。
この中学校では1年生が赤色、2年生が緑、3年生が青色と決まっている。

つまり今鯉に餌をやっている人は3年生で、私達の先輩ということになる。
「君達も餌やり?」

少し首をかしげて聞いてくるその人は陽の光に溶けてしまいそうな透明感のある肌をしている。