☆☆☆

70代に見えた女性は実はまだ40代前半で、30代の頃五十嵐花子を産んだことがわかった。
花子さんがなくなってから一気に老け込んだとのことだった。

「先程は失礼しました」
リビングに通されて洋太さんは頭を下げた。

「いいのよ。老けて見られるのは仕方ないもの。そこに座っていてね」
女性に言われて私達はリビングの四角いテーブルを囲むようにして座った。

テーブルとラグマット、小さなテレビに小さな本棚といった簡素な部屋だ。
だけど白い壁にのあちこちには家族写真が貼られていて、その中では微笑んでいる五十嵐花子の姿もあった。

両親の間に立って微笑んでいるその姿はとても幸せそうで、彼女が学校ではイジメられていたのだと思うと胸が苦しくなった。

「はい、どうぞ」