「はい？」
出てきた女性の髪の毛は真っ白で目は落ち窪んでいる。
７０代くらいに見えるから、五十嵐花子のおばあちゃんだろうか？

「突然すみません。少しお話をお伺いしたくて」
洋太さんはそう言うと自分の学生証を見せた。

「大学の学生さん？　そっちは？」
女性が私達へ視線を向けたので、慌てて中学校の学生証を見せた。

「山岡西中学の生徒さん？　あの、うちにどういったご用件ですか？」
警戒心をむき出しにした女性の表情に洋太さんが微笑みかける。

「実は少し困ったことが僕たちのまわりで起きていまして、調べた結果五十嵐花子さんが関係しているのではないかという結論に達しました。大変失礼ですが、五十嵐花子さんの身内の方ですか？」

洋太さんの丁寧が問いかけに女性は頷いた。

そして「はい。私は五十嵐花子の母親です」と、答えたのだった。