あれから洋太さんから連絡は来ていないから、もらえたかどうかの確認はできていないみたいだ。

「それなら、美穂を返してもらうのはどう?」
知里がひらめいた様子で言った。
美穂はこのアプリのせいで行方不明になった。

だからアプリにお願いすれば戻ってくるかもしれない。
そう考えたみたいだ。

「美穂が戻ってくれば私も嬉しい。昇はどう思う?」
「もちろん、賛成だ」

ただ、このアプリに人の名前を書き込んだからどうなるのか、そんな不安は残る。

指先は記入欄をタップしたままなかなか動かない。
「大丈夫か瞳? 俺が書こうか」
「ううん、大丈夫だよ」

私はそう言い、記入欄に【田橋美穂】と、書いたのだった。