洋太さんの額には汗がにじみ、呼吸が少し荒くなっている。
私もメマイを起こして座り込んでしまいそうだった。

絶望が目の前に広がっているような感覚だ。
「もう、スマホを壊すしかねぇのかな」
「それはダメだ! それだけはしちゃいけない!」

昇の言葉に洋太さんが焦ったように、過剰に反応した。
それに驚いて昇が目を見開く。

「驚かせてごめん。僕の友達もそうやってスマホを壊したんだ。それでも通知は止まらなくて、強制的に3回ミスしたことになったんだよ」

大きく深呼吸を繰り返して説明する洋太さんに背筋がゾッと寒くなった。
もしそれを知らずにスマホを壊していたら、私達も全員失格になっているところだったんだ。

「だからもう少し頑張ろう。なにか、少しずつ手がかりも掴めてきているんだからね」
洋太さんの声は次第に小さくなり、最後には風の音きかき消されて消えた。