「それで、もしかしたら先生と共通点があるかもしれないと勝手に思っているんです」

「共通点? まさか、感染病とか?」
すぐに険しい表情になり、菅原先生の遺影へ視線を向ける。

「俺たちが勝手にそう考えているだけです。他に被害者はいないし、大丈夫だと思うんですが」

「だけど感染病なら自分たちも危険かもしれない。それでここへ来たのね?」
昇が小さく頷く。
失礼なことを言っているとわかっている。

だけどアプリのことを伏せて説明するのは限界がある。
「あなたたちの不安はわかったわ。それならあの子の部屋を確認してみる?」
「いいんですか!?」
思わず声が大きくなってしまう。

すると先生のお母さんはため息を吐き出して「仕方ないでしょう? 私服で校外学習なんてするはずない。それなのにそんな嘘をついてまでここに来る必要があった。そうなんでしょう?」

すべて見破られていたのだ。

恥ずかしい気持ちになってうつむいてしまう。
「士郎の部屋は2階の手前よ。好きに見てもいいわ」

私達の嘘に気が付きながらもそれ以上深堀してくることなく、先生のお母さんは立ち上がって部屋を出たのだった。