「そうよ。どうぞ上がって」
そう言いながら私達の家へとあげてくれた。

真っ先に通されたのは仏間だった。
6畳の和室で、普段は使われていないのか物がほとんど置かれていない。

私達3人は先生のお母さんがお茶を用意してくる間に仏壇の前に座って手を合わせた。

そこには菅原先生の笑顔の遺影が飾られていて、見ているだけで涙が出てきてしまいそうになる。

「優しい先生だったのに」

知里がそう呟いたとき先生のお母さんがオレンジジュースを入れたコップをお盆に乗せて持ってきてくれた。

「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」

お礼を言い、大きくて重たそうなテーブルを前に座る。
「あなたは、確か葬儀のときにもいらしてたわよね?」

先生のお母さんが私を見つめる。
私は無意識に背筋を伸ばして頷いた。