犯人は
金曜日の夜カノコが仕事からアパートへ戻ってくると部屋の中が荒らされていた。
クローゼットが開けはなたれて中のものが床に散乱しているし、ベッドの下に積んであった古い雑誌まで引っ張り出されている。
泥棒が入ったのだとすぐに理解したカノコは震える手でバッグからスマホを取り出して警察に電話した。
「……ってことがあって、怖くてさぁ。今引越し先を探してるんだよね」
慌ただしく金曜日の夜を過ごし、土曜日はその疲れから1日部屋から出なかった。
そして日曜日の今日、友人のサトちゃんにこの話を聞いてもらうために喫茶店に来ていた。
テラス席に座って美味しいサンドイッチを食べて、少し気分が落ち着いてきたところだ。
「そんなことがあるなんて怖いね」
サトちゃんはさっきからふんふんと真剣にカノコの話を聞いてくれている。
「うん。今のアパートはセキュリティも甘いし、もう少し会社に近い場所に引っこそうと思うんだ」
会社の付近は物価が高くて一人暮らしするにはキツイと思って、電車で30分かかる今のアパートに入居を決めた。
けれどそれはもう2年前のことだ。
今では仕事にも慣れてきたし、貯金も増えた。
これをキッカケにもっといい部屋に移る決意ができた。
「それがいいと思うよ」
「だよね。でも泥棒もバカだったんだよ。盗んでいったものほとんど価値のない宝石ばかりだったんだから」
カノコが言うには泥棒は鏡台の中に入れてあった偽物のアクセサリーをまとめて盗んでいったみたいだ。
一番高いものでも千円くらいのオモチャのようで、盗まれたこと自体は別になんとも感じていなかった。
「でも、どうしてそんなオモチャばかり持ってたの?」
「サトちゃん忘れた? 高校時代に安い雑貨屋さんによく一緒に行ったでしょう? 値段は安いけど本物みたいだねって話したこともあったよね」
「覚えてる! そっか、そのとき買ったものをまだ持ってたんだね」
「今でも使ってるよ。思い出の物だし、高級感があるように見えるから」
「それで、お母さんにもらったネックレスは無事だったんだね?」
カノコはメロンソーダを飲み干して頷いた。
「それは別のところに隠してあるから大丈夫だったよ」
「別の所って?」
「トイレのタンクの中」
「そんなところに隠してたの!?」
驚くサトちゃんにカノコは笑う。
「セキュリティが甘いって言ったでしょ? こんなこともあるかもって思って絶対に見つけられないところに隠したんだよね。でももうすぐ引っ越しだから、また隠し場所考えなきゃなぁ」
「本当だね。もうすぐ引っ越しなら、早くしなきゃね」
サトちゃんはそう言って微笑んだ。
金曜日の夜カノコが仕事からアパートへ戻ってくると部屋の中が荒らされていた。
クローゼットが開けはなたれて中のものが床に散乱しているし、ベッドの下に積んであった古い雑誌まで引っ張り出されている。
泥棒が入ったのだとすぐに理解したカノコは震える手でバッグからスマホを取り出して警察に電話した。
「……ってことがあって、怖くてさぁ。今引越し先を探してるんだよね」
慌ただしく金曜日の夜を過ごし、土曜日はその疲れから1日部屋から出なかった。
そして日曜日の今日、友人のサトちゃんにこの話を聞いてもらうために喫茶店に来ていた。
テラス席に座って美味しいサンドイッチを食べて、少し気分が落ち着いてきたところだ。
「そんなことがあるなんて怖いね」
サトちゃんはさっきからふんふんと真剣にカノコの話を聞いてくれている。
「うん。今のアパートはセキュリティも甘いし、もう少し会社に近い場所に引っこそうと思うんだ」
会社の付近は物価が高くて一人暮らしするにはキツイと思って、電車で30分かかる今のアパートに入居を決めた。
けれどそれはもう2年前のことだ。
今では仕事にも慣れてきたし、貯金も増えた。
これをキッカケにもっといい部屋に移る決意ができた。
「それがいいと思うよ」
「だよね。でも泥棒もバカだったんだよ。盗んでいったものほとんど価値のない宝石ばかりだったんだから」
カノコが言うには泥棒は鏡台の中に入れてあった偽物のアクセサリーをまとめて盗んでいったみたいだ。
一番高いものでも千円くらいのオモチャのようで、盗まれたこと自体は別になんとも感じていなかった。
「でも、どうしてそんなオモチャばかり持ってたの?」
「サトちゃん忘れた? 高校時代に安い雑貨屋さんによく一緒に行ったでしょう? 値段は安いけど本物みたいだねって話したこともあったよね」
「覚えてる! そっか、そのとき買ったものをまだ持ってたんだね」
「今でも使ってるよ。思い出の物だし、高級感があるように見えるから」
「それで、お母さんにもらったネックレスは無事だったんだね?」
カノコはメロンソーダを飲み干して頷いた。
「それは別のところに隠してあるから大丈夫だったよ」
「別の所って?」
「トイレのタンクの中」
「そんなところに隠してたの!?」
驚くサトちゃんにカノコは笑う。
「セキュリティが甘いって言ったでしょ? こんなこともあるかもって思って絶対に見つけられないところに隠したんだよね。でももうすぐ引っ越しだから、また隠し場所考えなきゃなぁ」
「本当だね。もうすぐ引っ越しなら、早くしなきゃね」
サトちゃんはそう言って微笑んだ。



