悪魔の鏡
家庭科室の姿見で合わせ鏡をすると、中に悪魔の姿が見える。
それはこの小学校に長く伝わっている七不思議のひとつだった。
だけどそれが本当がどうか試した生徒は1人もいないらしい。
だって、家庭科室にある姿見は一台だけで、どうやっても合わせ鏡なんてできないから。
だから七不思議だって誰かがそれっぽい嘘を考えたんだ。
5年生の健一もそう考えていた。
だけどこの前家庭科準備室に先生を呼びに入ったとき、偶然奥に姿見らしきものをもう1台発見したのだ。
らしきものと言うのは、実際には確認していないから。
家庭科準備室の奥には普段使わない雑多のものが積み上げられていて、その中に現在も使用している姿見と同じくらいのサイズの、長方形のものを見つけたからだ。
それは古い布に覆われていたけれど、鏡みたいな形状に見えた。
「よっし、これで俺が七不思議一番乗りだ!」
放課後、職員室で先生に用事を頼んだスキに盗み出してきた家庭科室の鍵でドアを開ける。
すぐに中に入ってドアを閉めた。
中はカーテンがひかれて薄暗かったけれど、無断で入ったことがバレてしまうから電気をつけることはできない。
健一は足音を殺して家庭科準備室へ向かい、ノブを回して中に入った。
中はあまり整理整頓されていなくて、埃っぽい。
でもそんなことは気にせずお目当ての鏡の前にやってきた。
「うわっ」
古い布をひっぱって剥がすと、ホコリが舞い上がって咳き込んだ。
でも思っていた通りそこには鏡が置かれていた。
右下が割れていて危ないからここに片付けられたんだろう。
「もともと鏡が2台あったってことは、七不思議も嘘じゃないのかもな」
この鏡が使われていた時代に誰かが実際に悪魔を見ているかもしれない。
そう思うと楽しみでゾクゾクした。
だって、悪魔に会うことができるなんて夢みたいだ。
「悪魔が出てきたら契約とかすんのかな。俺、なにか能力とかもらえたりして」
この七不思議では悪魔を見ることができるというだけのようだけれど、健一はすっかりその気だ。
それから古い姿見を運び出し、普段使っている姿見の前に置いた。
これで合わせ鏡の完成だ。
「最後に俺が鏡の真ん中に立てばいいんだっけ?」
うろおぼえの七不思議を口に出して思い出しながら、健一は左手にドアがある方から鏡の真ん中に立った。
健一から向かって右側には窓があるから夕日が差し込んできて、鏡に反射している。
その光の眩しさに一瞬目を閉じた。
そして次に目をあけたとき……鏡の中はなにも変化がなかった。
「なぁんだ。やっぱり嘘だったのか」
せっかく家庭科準備室から古い鏡まで引っ張り出してきたのに失敗だったな。
健一はガッカリした気持ちで右側のドアから教室を出たのだった。
家庭科室の姿見で合わせ鏡をすると、中に悪魔の姿が見える。
それはこの小学校に長く伝わっている七不思議のひとつだった。
だけどそれが本当がどうか試した生徒は1人もいないらしい。
だって、家庭科室にある姿見は一台だけで、どうやっても合わせ鏡なんてできないから。
だから七不思議だって誰かがそれっぽい嘘を考えたんだ。
5年生の健一もそう考えていた。
だけどこの前家庭科準備室に先生を呼びに入ったとき、偶然奥に姿見らしきものをもう1台発見したのだ。
らしきものと言うのは、実際には確認していないから。
家庭科準備室の奥には普段使わない雑多のものが積み上げられていて、その中に現在も使用している姿見と同じくらいのサイズの、長方形のものを見つけたからだ。
それは古い布に覆われていたけれど、鏡みたいな形状に見えた。
「よっし、これで俺が七不思議一番乗りだ!」
放課後、職員室で先生に用事を頼んだスキに盗み出してきた家庭科室の鍵でドアを開ける。
すぐに中に入ってドアを閉めた。
中はカーテンがひかれて薄暗かったけれど、無断で入ったことがバレてしまうから電気をつけることはできない。
健一は足音を殺して家庭科準備室へ向かい、ノブを回して中に入った。
中はあまり整理整頓されていなくて、埃っぽい。
でもそんなことは気にせずお目当ての鏡の前にやってきた。
「うわっ」
古い布をひっぱって剥がすと、ホコリが舞い上がって咳き込んだ。
でも思っていた通りそこには鏡が置かれていた。
右下が割れていて危ないからここに片付けられたんだろう。
「もともと鏡が2台あったってことは、七不思議も嘘じゃないのかもな」
この鏡が使われていた時代に誰かが実際に悪魔を見ているかもしれない。
そう思うと楽しみでゾクゾクした。
だって、悪魔に会うことができるなんて夢みたいだ。
「悪魔が出てきたら契約とかすんのかな。俺、なにか能力とかもらえたりして」
この七不思議では悪魔を見ることができるというだけのようだけれど、健一はすっかりその気だ。
それから古い姿見を運び出し、普段使っている姿見の前に置いた。
これで合わせ鏡の完成だ。
「最後に俺が鏡の真ん中に立てばいいんだっけ?」
うろおぼえの七不思議を口に出して思い出しながら、健一は左手にドアがある方から鏡の真ん中に立った。
健一から向かって右側には窓があるから夕日が差し込んできて、鏡に反射している。
その光の眩しさに一瞬目を閉じた。
そして次に目をあけたとき……鏡の中はなにも変化がなかった。
「なぁんだ。やっぱり嘘だったのか」
せっかく家庭科準備室から古い鏡まで引っ張り出してきたのに失敗だったな。
健一はガッカリした気持ちで右側のドアから教室を出たのだった。



