意味がわかると怖い話【解説付き】

廃墟探検

「やっほー! みんなこんばんは! 初めて視聴する人は始めまして! 俺、レオ!
 レオっちチャンルへようこそ!」

画面上ではオレンジの髪色をした20だい前半の男がはしゃいでいる。
背景に見えるのは暗い森と、その向こうに薄汚れた建物がある。

「今回レオっちがやってきたのはこちら! ●●県✖✖市にあるホラースポットでぇす! ホラースポットということであえて夜に配信してるんだけど、みんな起きてるかい? こんな時間だけどレオっちもテンション上げて行くよぉ!」

小道を進んでいくと建物の全容が見えてきた。
大きな一軒家という感じで、玄関先にはこわれたプランターが放置されている。

「ここは昔4人の家族が暮らしていたみたいっす。周りもこんなに木々が生い茂っていたわけじゃなくて、庭とか駐車場として使われていたみたいっすねぇ。空き家になって何十年も経過しているらしくて、こんな森みたいになっちゃったらしっす」

レオが紹介しながら玄関を開く。
懐中電灯の光で照らし出された玄関には誰かの靴が並んだままだった。

「これ、たぶん当時暮らしてた人の靴っすね。ほとんどそのまま残されてるとは聞いてたけど、まさかここまでとはねぇ」

レオも少し引いている様子で靴や廊下の様子を写した。
廊下には白くホコリが積もっていて、白い壁には落書きが見られる。

「玄関の鍵はかかってなかったし、いろんな人が出入りしてるみたいっすね。あ、ちなみにこの家に暮らしていた人たちですけど、一家4人、両親とお兄さんと妹さんという家族構成だったって聞いてます。当時この辺では皮膚病が流行ったとかなんとかで、一家全員感染しちゃって、そのまま自宅で亡くなったらしいっす」

なんでも、この辺の住人が使っていた井戸の水が汚染されてたっぽくて、当時は大変な騒ぎになったとかぁ。

レオは説明を続けながら奥へと向かう。

「この部屋はリビングっすね。ここで両親が折り重なるようにして死んでたらしいっす」

床下が剥がれ落ちている部分にライトが当たる。
その辺だけ劣化が激しいのは、死体の汁が染み込んだせいだろうか。

「あっちはキッチンっすね。おわぁ、真っ黒な水が溜まってます」
シンクにはなぜか栓がされていて、どす黒い水が溜まっていた。

レオが移動しようとしたそのときだった。
蛇口に指先が当たってつけていた指輪が黒い水の中に沈んでいったのだ。

「うそだろおい!」
慌てた様子のレオがシンクの中を覗き込む。

どうやらこれは演出ではなくて、本当のハプニングみたいだ。
「えー、最悪。まじかよ。高かったんだよあの指輪」

ブツブツと素で文句を言う声が聞こえてきたあと、カメラがシンクを写した。
「最悪最低ですが、指輪は救出したいと思います。だって、高かったから」

覚悟を決めたようにレオが水の中に手を入れる。
溜まっている水は意外と大きのか、手首まで水につかってしまった。

「うわ、なんだよ、なんかチクチクする!」
レオが顔をしかめて文句を言いながらもどうにか指輪を取り出した。

「ふぅ……。今日はちょっともう、これで終わりにします。幽霊も出てこないみたいだし」
すっかりやる気を削がれたレオが足早に家を出る。

「かゆ……」
配信が切れる寸前レオはそうつぶやいて、シンクに突っ込んだ方の手をかいたのだった。