約束
小学校の1年生から6年生まで中の良かった拓哉が中学進学と同時に引っ越すことになった。
「絶対にまた遊ぼうな!」
卒業証書を握りしめてボロボロ泣いているのは卒業することが寂しいからじゃない。
一番の親友が遠くへ行ってしまうからだった。
「約束な!」
拓哉は泣いている俺とは対象的に笑顔で手を振って校門を出ていった。
きっとまた会える。
大人になれば毎日だって会うことができる。
そう信じていた。
「じゃ、またなぁ」
それから5年が経過して、俺は高校生になっていた。
高校になってから入部した書道部の活動が楽しくて毎日遅くまで部室に残って作品作りに専念している。
先月は地元の大型スーパーで書道パフォーマンスを行い、沢山の人が見に来てくれた。
割れんばかりの拍手をもらったときのことを思い出すと、今でも胸がドキドキする。
そんなザ・青春を謳歌している俺が鼻歌交じりに帰路を歩いていると、向こうからこちらへ歩いてくる人物が見えた。
ぶつからないように体を横へよけた時、相手の顔がシッカリと見えた。
懐かしい。
瞬時にそう感じて目を見開く。
こちらに歩いてくる人物も俺に気が付き、笑顔になった。
その笑顔はあの卒業式のときと変わらず、だけど随分大人っぽくなっている。
「拓哉!?」
「久しぶりだな」
駆け寄り、互いの肩を叩く。
5年の年月が経過しているとは思えない再開の仕方だった。
俺たちはすぐに打ち解けて、近くの公園のベンチに座り込んで話をした。
5年間どうしていたか。
今どこの高校に通っているのか。
話題は付きることがない。
「また遊ぼうって約束したのに、守れなくてごめんな」
話題が途切れたとき、ふとあの時の約束を思い出してそうつぶやいた。
拓哉の住所は知っていたから休日を使って向かうことはできたはずだ。
だけど毎日楽しくて忙しくて、記憶の中から徐々に薄れて行ってしまった。
「それなら今守られたからいいよ」
隣に座る拓哉が微笑む。
その顔と体がうっすらと透けているように見えて目をこすった。
見間違いじゃない。
拓哉の体が透き通っている。
「おい、拓哉どうしたんだよ?」
「これだけが心残りだったんだ。会えてよかった」
拓哉が笑顔で手を振る。
「ちょっと待てよ拓哉! どういうことだよ!?」
消えていく拓哉を抱きしめようと両手を伸ばすが、すり抜けてしまう。
気がつけば俺はボロボロと泣いていた。
消えそうな拓哉は笑っているのに。
「本当に泣き虫だなぁ。大丈夫、ずっと見てるから」
拓哉はそう言い残して消えて行ったのだった。
小学校の1年生から6年生まで中の良かった拓哉が中学進学と同時に引っ越すことになった。
「絶対にまた遊ぼうな!」
卒業証書を握りしめてボロボロ泣いているのは卒業することが寂しいからじゃない。
一番の親友が遠くへ行ってしまうからだった。
「約束な!」
拓哉は泣いている俺とは対象的に笑顔で手を振って校門を出ていった。
きっとまた会える。
大人になれば毎日だって会うことができる。
そう信じていた。
「じゃ、またなぁ」
それから5年が経過して、俺は高校生になっていた。
高校になってから入部した書道部の活動が楽しくて毎日遅くまで部室に残って作品作りに専念している。
先月は地元の大型スーパーで書道パフォーマンスを行い、沢山の人が見に来てくれた。
割れんばかりの拍手をもらったときのことを思い出すと、今でも胸がドキドキする。
そんなザ・青春を謳歌している俺が鼻歌交じりに帰路を歩いていると、向こうからこちらへ歩いてくる人物が見えた。
ぶつからないように体を横へよけた時、相手の顔がシッカリと見えた。
懐かしい。
瞬時にそう感じて目を見開く。
こちらに歩いてくる人物も俺に気が付き、笑顔になった。
その笑顔はあの卒業式のときと変わらず、だけど随分大人っぽくなっている。
「拓哉!?」
「久しぶりだな」
駆け寄り、互いの肩を叩く。
5年の年月が経過しているとは思えない再開の仕方だった。
俺たちはすぐに打ち解けて、近くの公園のベンチに座り込んで話をした。
5年間どうしていたか。
今どこの高校に通っているのか。
話題は付きることがない。
「また遊ぼうって約束したのに、守れなくてごめんな」
話題が途切れたとき、ふとあの時の約束を思い出してそうつぶやいた。
拓哉の住所は知っていたから休日を使って向かうことはできたはずだ。
だけど毎日楽しくて忙しくて、記憶の中から徐々に薄れて行ってしまった。
「それなら今守られたからいいよ」
隣に座る拓哉が微笑む。
その顔と体がうっすらと透けているように見えて目をこすった。
見間違いじゃない。
拓哉の体が透き通っている。
「おい、拓哉どうしたんだよ?」
「これだけが心残りだったんだ。会えてよかった」
拓哉が笑顔で手を振る。
「ちょっと待てよ拓哉! どういうことだよ!?」
消えていく拓哉を抱きしめようと両手を伸ばすが、すり抜けてしまう。
気がつけば俺はボロボロと泣いていた。
消えそうな拓哉は笑っているのに。
「本当に泣き虫だなぁ。大丈夫、ずっと見てるから」
拓哉はそう言い残して消えて行ったのだった。



