お化けの正体
▲▲小学校の4年1組では最近怖い話が人気だった。
生徒たちはそれぞれ家族や地元の人から聞いた怖い話や言い伝えを披露して盛り上がっている。
この日の放課後は5人の生徒たちが教室に残って怖い話に参加していた。
「今は使われなく鳴った赤い橋があるでしょう? そこを渡りきった先にある山の上には昔精神病院が建っていてね……」
話のうまい女の子が赤い橋の向こう側に立つ女の幽霊の話をしている。
「その幽霊は精神病院の中で死んでしまった子で、帰りたくて今でも橋に立っているんだって」
最後まで聞き終えたとき、リーナの二の腕に鳥肌が立った。
「赤い橋の話は有名だけれど、ショウちゃんが話すとやっぱり怖いね」
右隣に座るカスミちゃんがブルリと身を震わせて言う。
「本当に怖かったよ」
「えへへ、ありがとう。じゃあ次はカスミちゃんの番ね」
名前を呼ばれたカスミちゃんがコホンと咳払いをして背筋を伸ばす。
みんなの視線がカスミちゃんへ向かった。
「これはこの▲▲小学校のまつわる怖い話だよ」
カズミちゃんがそう言った瞬間に「やだぁ」とか「怖いな」という声が上がる。
「私達が入学するずっと昔の話なんだけど、ひとりの女の先生がいたんだって。その先生は若くキレイな人で、授業もわかりやすくて生徒たちに人気があったんだって。名前はわかんないんだけど、仮に佐藤先生にしとくね」
もしそんな先生がいれば、本当に人気者になっていたと思う。
「そしてある年新任の先生が入ってきたの。その中に、東先生っていう女性の先生がいたんだけど、同じくらい若いのにやぼったくて、ぱっとしない人だったんだって。その先生は授業も下手くそで、生徒たちから嫌われちゃったの」
新任なのに生徒から嫌われるなんて可愛そう。
という声が聞こえてくる。
「東先生は人気者の佐藤先生にどうすれば生徒と仲良くなれるか聞いたんだって。そしたら佐藤先生はこう答えたの。『生徒たちとのスキンシップを大切にすればいいよ』って。だから東先生は生徒たちと握手したりハグしたりするようになったらしいの。でももともと嫌いな先生にハグされたらどう思う? 嫌だよね? それを親に相談した生徒が出てきたことで、東先生の行動は問題として取り上げられてしまった」
生徒に好かれている佐藤先生だからこそ許された行為、なのかもしれない。
だけどなにか引っかかる。
いくら生徒に好かれている先生でも、ハグなんてするかな?
「窮地に追い込まれた東先生はまた佐藤先生に相談しに行ったの。そしたら佐藤先生はクスクス笑いながら『あんな助言を真に受けたの? 生徒とのスキンシップなんて毎日やってたらただのセクハラよ』って言ったんだって。佐藤先生は自分に人気があることを心の中では鼻にかけていたらしくて、パッとしない東先生をイジメようと企んであんな助言をしてたんだって」
そんなの可愛そう!
みんなの顔が曇っている。
「結局東先生はこの学校をやめてその後姿を見た人はいないんだって。その東先生が担当していたクラスはここ、4年1組なんだよ」
カスミちゃんがグルリとみんなを見回す。
「東先生がどうなったのかわからない、だけど放課後になると生徒の頬をそっとなでて来る手が現れるんだって。それは死んでしまった東先生がまだ生徒とスキンシップを取ろうとしているんじゃないかって、噂」
カスミちゃんが話し終えた瞬間、左側の頬を何かがなでた。
「キャアア!!」
思わず悲鳴を上げて椅子から転げ落ちてしまう。
するとカスミちゃんが「あははっ。ごめんごめん」と手を合わせて謝ってきた。
なんだ、私の頬をなでたのはカズミちゃんだったのか。
ホッとした次の瞬間、背筋が凍った。
▲▲小学校の4年1組では最近怖い話が人気だった。
生徒たちはそれぞれ家族や地元の人から聞いた怖い話や言い伝えを披露して盛り上がっている。
この日の放課後は5人の生徒たちが教室に残って怖い話に参加していた。
「今は使われなく鳴った赤い橋があるでしょう? そこを渡りきった先にある山の上には昔精神病院が建っていてね……」
話のうまい女の子が赤い橋の向こう側に立つ女の幽霊の話をしている。
「その幽霊は精神病院の中で死んでしまった子で、帰りたくて今でも橋に立っているんだって」
最後まで聞き終えたとき、リーナの二の腕に鳥肌が立った。
「赤い橋の話は有名だけれど、ショウちゃんが話すとやっぱり怖いね」
右隣に座るカスミちゃんがブルリと身を震わせて言う。
「本当に怖かったよ」
「えへへ、ありがとう。じゃあ次はカスミちゃんの番ね」
名前を呼ばれたカスミちゃんがコホンと咳払いをして背筋を伸ばす。
みんなの視線がカスミちゃんへ向かった。
「これはこの▲▲小学校のまつわる怖い話だよ」
カズミちゃんがそう言った瞬間に「やだぁ」とか「怖いな」という声が上がる。
「私達が入学するずっと昔の話なんだけど、ひとりの女の先生がいたんだって。その先生は若くキレイな人で、授業もわかりやすくて生徒たちに人気があったんだって。名前はわかんないんだけど、仮に佐藤先生にしとくね」
もしそんな先生がいれば、本当に人気者になっていたと思う。
「そしてある年新任の先生が入ってきたの。その中に、東先生っていう女性の先生がいたんだけど、同じくらい若いのにやぼったくて、ぱっとしない人だったんだって。その先生は授業も下手くそで、生徒たちから嫌われちゃったの」
新任なのに生徒から嫌われるなんて可愛そう。
という声が聞こえてくる。
「東先生は人気者の佐藤先生にどうすれば生徒と仲良くなれるか聞いたんだって。そしたら佐藤先生はこう答えたの。『生徒たちとのスキンシップを大切にすればいいよ』って。だから東先生は生徒たちと握手したりハグしたりするようになったらしいの。でももともと嫌いな先生にハグされたらどう思う? 嫌だよね? それを親に相談した生徒が出てきたことで、東先生の行動は問題として取り上げられてしまった」
生徒に好かれている佐藤先生だからこそ許された行為、なのかもしれない。
だけどなにか引っかかる。
いくら生徒に好かれている先生でも、ハグなんてするかな?
「窮地に追い込まれた東先生はまた佐藤先生に相談しに行ったの。そしたら佐藤先生はクスクス笑いながら『あんな助言を真に受けたの? 生徒とのスキンシップなんて毎日やってたらただのセクハラよ』って言ったんだって。佐藤先生は自分に人気があることを心の中では鼻にかけていたらしくて、パッとしない東先生をイジメようと企んであんな助言をしてたんだって」
そんなの可愛そう!
みんなの顔が曇っている。
「結局東先生はこの学校をやめてその後姿を見た人はいないんだって。その東先生が担当していたクラスはここ、4年1組なんだよ」
カスミちゃんがグルリとみんなを見回す。
「東先生がどうなったのかわからない、だけど放課後になると生徒の頬をそっとなでて来る手が現れるんだって。それは死んでしまった東先生がまだ生徒とスキンシップを取ろうとしているんじゃないかって、噂」
カスミちゃんが話し終えた瞬間、左側の頬を何かがなでた。
「キャアア!!」
思わず悲鳴を上げて椅子から転げ落ちてしまう。
するとカスミちゃんが「あははっ。ごめんごめん」と手を合わせて謝ってきた。
なんだ、私の頬をなでたのはカズミちゃんだったのか。
ホッとした次の瞬間、背筋が凍った。



