意味がわかると怖い話【解説付き】

デジタルペット

友達のアイちゃんがデジタルペットを買ってもらったらしい。
「すごいね、これがデジタルペット?」

手のひらより少し大きめのコンパクトを開くと、そこには立体映像のハムスターが出てきた。

ハムスターはこちらに顔を向けてアーモンドを食べている。
「そうだよ! ハムスターのスターちゃん」

「カッコイイ名前にしたんだね」
「うん。ハムスターの下の部分からとったの」

「どうしてハムちゃんにしなかったの?」
「実はもう一匹いて、そっちがハムちゃんなんだ」

アイちゃんが自信満々に言うので関心しながらスターちゃんへ視線を落とした。
スターちゃんは今はアーモンドを食べ終えて横になり、目を閉じている。

どうやら眠ってしまったみたいだ。
「ねぇ、これって映像をなでると起きるんでしょう? やってみてもいい?」

「ダメ! せっかく寝たのを起こさないであげて」
伸ばして手をピシャリと叩かれて引っ込めた。

「そ、そうだよね、ごめん」
誰でも気持ちよく寝ているところを起こされたら嫌だと思う。

だけど相手はデジタルペットで本物のハムスターじゃない。
それなのに手の甲を叩くなんて。

アイちゃんに叩かれた手の甲がヒリヒリする。
「このデジタルペットは実際の動物をとてもよく再現してるの。だから大切にしてあげなきゃ、すぐに死んじゃうんだよ」

「そっか。知らなくてごめんね」
「ううん。持ってないんだから仕方ないよ。私、飲み物もってくるね!」

アイちゃんがバタバタと部屋を出ていった後、私はジッとハムスターを見つめた。
私だってデジタルペットがほしい。

だけど私の家は母子家庭だから、あまりお母さんに負担をかけさせることはできない。

アイちゃんはそれを知っていたから、私にデジタルペットを見せてくれたはずだった。
それなのに、触れることもできないなんて。
もしかしてアイちゃんは優しさからじゃなくて、自慢するために私を家に呼んだのかもしれない。

アイちゃんの家はお父さんがお医者さんだからすごく大きくて、私の暮らしている借家とは大違いだ。

そう思うと胸がムカムカしてきた。
きっとそうだ。
アイちゃんは意地悪をするために私を連れてきたんだ。

私はそっと目の前にいるハムスターに手を伸ばした。
「おまたせ」
お盆にジュースを乗せて戻ってきたアイちゃんが大きく目を見開いた。

「ハムちゃん!?」
お盆ごとジューズを床に落として駆け寄ってくる。
ハムスターが死んだくらいで、大げさだよね。