メリカリ
中学生のカノコは今日も推しのアイドルに夢中だった。
「タロくん今日もカッコイイなぁ。そういえば昨日発売の雑誌にも特集組まれてたんだっけ。買いたいけど、もう少しでタロくんの新曲も発売だし、そんなにお小遣いないしなぁ」
けれど雑誌はほしい。
どうしようか考えた時、お父さんが使っていたメリカリのアプリを思い出した。
メリカリとは不要になったものなどを安く販売してくれる通販サイトで、出品者は一般の人が多い。
中にはレアな商品もあって価格も高いけれど、発売されたばかりの雑誌ならそんなに高くはないはずだ。
1度読み終えた人が少し安い値段で出しているかもしれない!
そう考えたカノコはさっそく自分もメリカリをダウンロードしてみることにした。
「へぇ、雑誌の切り抜きなんかあるんだ!」
その中でカノコが目につけたのは雑誌のほしいページだけを切り取って販売している人たちの出品物だった。
一冊丸々購入ではないので、新しく出ている雑誌も格安で手に入る。
「これだ! お父さん、これ買ってもいい!?」
カノコはお父さんに相談してさっそくメリカリで雑誌の切り抜きを購入したのだった。
「うぅ~ん次はどれを買おうかな?」
メリカリなら、過去に発売された雑誌でも売り買いされている。
ひと月後、カノコはまたメリカリで雑誌の切り抜きを探していた。
なんといってもカノコの推しは今大人気なので、毎月毎月気になる雑誌が多く発売されている。
今まで買いそびれてしまった雑誌も沢山あった。
最近はなぜか推しのテレビ露出が減ってきているので、今のうちに雑誌に手を出そうと考えていたのだ。
「なにこれ」
そこでカノコが気になったのは【●●くんの切り抜きを販売します】という文字だった。
●●くんとはカノコの推しで間違いないけれど雑誌名は記載されていない。
しかも金額は【あなたの人生】と書かれている。
一体どういうことだろう?
よくわからないけれど自分の推しの切り抜きがもらえることには間違いなさそうだ。
さっそく購入画面を確認してみると【●●くんの好きなパーツを入力してください】と出てくる。
「そんなの沢山あって困るよぉ!」
スマホを握りしめてニヤニヤと頬を緩ませる。
透き通るようなキレイな声も好きだし、りりしい眉も好きだし、スラリと長い足も魅力的だ。
だけど●●くんの一番の魅力と言えば……「目、かな」
カノコは呟く。
彼の大きくてクリクリとした目に惹かれて好きになったんだ。
カノコは浮かんできた目という言葉をそのまま打ち込んでいた。
そして無意識の内に購入ボタンをタップする。
「あ! お父さんに相談せずに買っちゃった!」
画面上には【購入ありがとうございます】の文字が出てきている。
「お金はかからないみたいだし、まぁいっか」
それから数日が経過してカノコはすっかり購入ボタンを押してしまったことを忘れていた。
それどころではないことが起こっていたのだ。
『✖日から行方不明になっているアイドルの●●さんについて、情報提供をお待ちしています』
テレビに映る女性ニュースキャスターが深刻そうに言葉を紡ぐ。
カノコがメリカリで妙なものを購入した日の夕方頃、●●くんが所属している芸能事務所が記者会見を開いた。
その内容によると●●くんが一月ほど前から行方不明になっているということだった。
だから最近●●くんのテレビ出演が少なくなっていたのだと思うと同時に、不安が胸を支配した。
一月も前にいなくなったってどういうこと?
どこに行っちゃったの?
それからカノコは毎日ニュースや新聞をチェックして、●●くんが見つかっていないか確認していた。
そんな日のことだった。
カノコが家に帰った時、ポストに分厚い封筒が差し込まれていた。
宛先はカノコになっていて、送り主はメリカリからだ。
「あぁ、そういえば」
妙なものを購入したんだっけ。
カノコは自室へ向かい、封筒を開けた。
その中に入っていたのは小さな箱だった。
ちょうど指輪を入れてけるくらいのサイズ感で、カノコの手のひらにすっぽりとおさまる。
そしてそれを開けた瞬間、目が合った。
あれは、そういう意味だったのか。
カノコが真っ青になって絶句している間に玄関チャイムが鳴り響き「お支払いをいただきに来ました」と声が聞こえてきたのだった。
中学生のカノコは今日も推しのアイドルに夢中だった。
「タロくん今日もカッコイイなぁ。そういえば昨日発売の雑誌にも特集組まれてたんだっけ。買いたいけど、もう少しでタロくんの新曲も発売だし、そんなにお小遣いないしなぁ」
けれど雑誌はほしい。
どうしようか考えた時、お父さんが使っていたメリカリのアプリを思い出した。
メリカリとは不要になったものなどを安く販売してくれる通販サイトで、出品者は一般の人が多い。
中にはレアな商品もあって価格も高いけれど、発売されたばかりの雑誌ならそんなに高くはないはずだ。
1度読み終えた人が少し安い値段で出しているかもしれない!
そう考えたカノコはさっそく自分もメリカリをダウンロードしてみることにした。
「へぇ、雑誌の切り抜きなんかあるんだ!」
その中でカノコが目につけたのは雑誌のほしいページだけを切り取って販売している人たちの出品物だった。
一冊丸々購入ではないので、新しく出ている雑誌も格安で手に入る。
「これだ! お父さん、これ買ってもいい!?」
カノコはお父さんに相談してさっそくメリカリで雑誌の切り抜きを購入したのだった。
「うぅ~ん次はどれを買おうかな?」
メリカリなら、過去に発売された雑誌でも売り買いされている。
ひと月後、カノコはまたメリカリで雑誌の切り抜きを探していた。
なんといってもカノコの推しは今大人気なので、毎月毎月気になる雑誌が多く発売されている。
今まで買いそびれてしまった雑誌も沢山あった。
最近はなぜか推しのテレビ露出が減ってきているので、今のうちに雑誌に手を出そうと考えていたのだ。
「なにこれ」
そこでカノコが気になったのは【●●くんの切り抜きを販売します】という文字だった。
●●くんとはカノコの推しで間違いないけれど雑誌名は記載されていない。
しかも金額は【あなたの人生】と書かれている。
一体どういうことだろう?
よくわからないけれど自分の推しの切り抜きがもらえることには間違いなさそうだ。
さっそく購入画面を確認してみると【●●くんの好きなパーツを入力してください】と出てくる。
「そんなの沢山あって困るよぉ!」
スマホを握りしめてニヤニヤと頬を緩ませる。
透き通るようなキレイな声も好きだし、りりしい眉も好きだし、スラリと長い足も魅力的だ。
だけど●●くんの一番の魅力と言えば……「目、かな」
カノコは呟く。
彼の大きくてクリクリとした目に惹かれて好きになったんだ。
カノコは浮かんできた目という言葉をそのまま打ち込んでいた。
そして無意識の内に購入ボタンをタップする。
「あ! お父さんに相談せずに買っちゃった!」
画面上には【購入ありがとうございます】の文字が出てきている。
「お金はかからないみたいだし、まぁいっか」
それから数日が経過してカノコはすっかり購入ボタンを押してしまったことを忘れていた。
それどころではないことが起こっていたのだ。
『✖日から行方不明になっているアイドルの●●さんについて、情報提供をお待ちしています』
テレビに映る女性ニュースキャスターが深刻そうに言葉を紡ぐ。
カノコがメリカリで妙なものを購入した日の夕方頃、●●くんが所属している芸能事務所が記者会見を開いた。
その内容によると●●くんが一月ほど前から行方不明になっているということだった。
だから最近●●くんのテレビ出演が少なくなっていたのだと思うと同時に、不安が胸を支配した。
一月も前にいなくなったってどういうこと?
どこに行っちゃったの?
それからカノコは毎日ニュースや新聞をチェックして、●●くんが見つかっていないか確認していた。
そんな日のことだった。
カノコが家に帰った時、ポストに分厚い封筒が差し込まれていた。
宛先はカノコになっていて、送り主はメリカリからだ。
「あぁ、そういえば」
妙なものを購入したんだっけ。
カノコは自室へ向かい、封筒を開けた。
その中に入っていたのは小さな箱だった。
ちょうど指輪を入れてけるくらいのサイズ感で、カノコの手のひらにすっぽりとおさまる。
そしてそれを開けた瞬間、目が合った。
あれは、そういう意味だったのか。
カノコが真っ青になって絶句している間に玄関チャイムが鳴り響き「お支払いをいただきに来ました」と声が聞こえてきたのだった。



