ラベル
丸々中学校に通う桃子と啓太はその日リサイクル当番になっていた。
この学校では放課後になると飲んだ後のペットボトルや缶ジュースを所定の場所に持ってくるようになっていた。
その再、中を水道で洗ってキレイにしておく必要もある。
少し面倒だけれど、専用のゴミ箱が設けられていないので、生徒たちは自主的にリサイクルに参加することになった。
「あ、ちゃんとラベルを剥がしてくれなきゃダメだよ?」
ペットボトルのラベルを剥がさずに持ってきた1年生の女子生徒に桃子が注意する。
女子生徒はその場で素直にラベルを剥がし、分別をしてから帰っていった。
「こんな風にリサイクルなんてやってる学校珍しいだろうな」
「そうだね。コンビニみたいにゴミ箱が中で別れてて勝手に分別するみたいだよ」
「でもそれじゃ、ラベルは張りっぱなしだし中は汚れたままだもんな。結局手間がかかるんじゃないか?」
「そのまま捨てられてたりしてね?」
なんて会話をしていると、またラベルがつきっぱなしのペットボトルを持ってきた生徒がいた。
「なんでみんなラベルを取らないのかな?」
桃子がリサイルクル当番の仕事が増えることに不満を感じているようだ。
「ラベルを剥がすと素の自分になりそうだからじゃないか?」
「え? それってどういうこと?」
啓太の言葉の意味がわからずに聞き返す。
「ほら、これが素の中身ってこと」
ラベルの剥かれたペットボトルを手に取って説明する啓太。
それでも桃子にはよくわからなくて「ふぅん」とだけ返事をした。
啓太は教室内でもちょっと浮いた存在で、なにを考えているのか正直よくわからないところがある。
こうして一緒に当番にならなければ会話もしない相手だった。
「ペットボトルのラベルを剥がしてからリサイクルしてね」
それから桃子は生徒にたちに声をかけて、リサイクル当番の仕事を終えたのだった。
啓太は家に帰ってすぐに脱衣所へ向かった。
1日頑張ってすっかり汗をかいてしまっている。
「はぁ、今日も疲れたな」
まだ宿題が残っているけれど、まずはシャワーですっきりしたい。
制服を脱いで、続いて自分の鎖骨に手をのばす。
そこにはラベルを剥がすときみたいに小さな点線が入っていた。
普段は制服にかくれて見えない部分だ。
啓太はそこから自分の皮膚をペリペリと剥がして行った。
「やっぱり素の姿は気持ちいいな」
弾んだ声で呟いて、浴室へと入っていったのだった。
丸々中学校に通う桃子と啓太はその日リサイクル当番になっていた。
この学校では放課後になると飲んだ後のペットボトルや缶ジュースを所定の場所に持ってくるようになっていた。
その再、中を水道で洗ってキレイにしておく必要もある。
少し面倒だけれど、専用のゴミ箱が設けられていないので、生徒たちは自主的にリサイクルに参加することになった。
「あ、ちゃんとラベルを剥がしてくれなきゃダメだよ?」
ペットボトルのラベルを剥がさずに持ってきた1年生の女子生徒に桃子が注意する。
女子生徒はその場で素直にラベルを剥がし、分別をしてから帰っていった。
「こんな風にリサイクルなんてやってる学校珍しいだろうな」
「そうだね。コンビニみたいにゴミ箱が中で別れてて勝手に分別するみたいだよ」
「でもそれじゃ、ラベルは張りっぱなしだし中は汚れたままだもんな。結局手間がかかるんじゃないか?」
「そのまま捨てられてたりしてね?」
なんて会話をしていると、またラベルがつきっぱなしのペットボトルを持ってきた生徒がいた。
「なんでみんなラベルを取らないのかな?」
桃子がリサイルクル当番の仕事が増えることに不満を感じているようだ。
「ラベルを剥がすと素の自分になりそうだからじゃないか?」
「え? それってどういうこと?」
啓太の言葉の意味がわからずに聞き返す。
「ほら、これが素の中身ってこと」
ラベルの剥かれたペットボトルを手に取って説明する啓太。
それでも桃子にはよくわからなくて「ふぅん」とだけ返事をした。
啓太は教室内でもちょっと浮いた存在で、なにを考えているのか正直よくわからないところがある。
こうして一緒に当番にならなければ会話もしない相手だった。
「ペットボトルのラベルを剥がしてからリサイクルしてね」
それから桃子は生徒にたちに声をかけて、リサイクル当番の仕事を終えたのだった。
啓太は家に帰ってすぐに脱衣所へ向かった。
1日頑張ってすっかり汗をかいてしまっている。
「はぁ、今日も疲れたな」
まだ宿題が残っているけれど、まずはシャワーですっきりしたい。
制服を脱いで、続いて自分の鎖骨に手をのばす。
そこにはラベルを剥がすときみたいに小さな点線が入っていた。
普段は制服にかくれて見えない部分だ。
啓太はそこから自分の皮膚をペリペリと剥がして行った。
「やっぱり素の姿は気持ちいいな」
弾んだ声で呟いて、浴室へと入っていったのだった。



