スイーツ王子は甘くない⁉

「あのっ、シロくんたちも、よかったらこれ、食べてみて」

 気を取り直してみんなに声をかける。


「ラッキー。っつーか、もちろんそれ目当てで来たし」

 エンくんが、さっそくひとつ手に取り、がぶりっ。


「うおーっ、伸びる伸びる。小豆もうまっ」

「こら、エン。まだ心愛さんも味見をしていないんですよ?」

「ううん、そんなの、気にしないで。よかったら、どんどん食べて」

 イチゴくんもシロくんも、「いっただっきまーす!」「いただきます」と手を伸ばす。


「うん、おいしーい!」

「たまには和菓子もいいもんだね」

 みんなの笑顔をじっと見つめる。


「それでは、僕もいただきますね」

 アズくんが大福を手に取り、口元へと運ぶ。


 やっぱり先生に食べてもらうときが一番緊張する……!


「うん、求肥も舌触りよくできています。小豆の硬さも甘みもちょうどいいですね」

「はぁ~、よかったぁ」


 今日で、和菓子の特訓は終わり。

 これで……スイーツ王子たちとの特訓の日々も終わり。


 わたしがスイーツ科の生徒になっても、ただの先輩と後輩。

 きっと、こんな毎日は二度と来ないに違いない。