最後の特訓は、和菓子専攻のアズくんと。


「がんばりましょうね、心愛さん」

 そう言って、アズくんが柔らかい笑みを浮かべる。


「それではさっそく小豆を煮てみましょうか」

「はい!」


 わたし、洋菓子も好きだけど、和菓子も——特に小豆が大好きなんだ。

 ぜんざいはもちろん、おはぎや大福、パンにつけて食べるだけで、朝から最高にハッピーな気分になれる。


「小豆は、大豆や金時豆と違って、皮からは吸水しないんです。小豆のココのところ。この白い目の部分からのみ、水を吸収します。この白い目の部分は、冷たい水に触れると閉じてしまって、水を吸収しなくなってしまうんです。なので、大豆なんかと違って、一晩水に浸しておいたりせず、水洗いしたら、すぐに火にかけていきましょう」

 小豆をさっと水で洗ったら、鍋に小豆とたっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰させる。


「沸騰し、2~3分経ったら、一度ザルにあけて煮汁を捨てます。小豆には、苦みや渋みがあるんです。なので、一度ゆでこぼすことでその渋みを抜いていきます」

「へぇ~、そうなんだ」

「渋切りをしたら、小豆を煮ていきましょう。小豆とたっぷりの水をもう一度鍋に入れ、柔らかくなるまで火にかけます。途中、水が少なくなったら、適宜足してくださいね」

「はい」