スイーツ王子は甘くない⁉

***


 ぐすん、ぐすん……。


 駅の近くの公園の前を通りかかったとき、すすり泣くような声がどこからか聞こえてきた。

 公園の中を見ると、ランドセルを背負った男の子が一人、顔をうつむかせてブランコに座っている。


 小学校中学年くらいかなぁ?

 どうしたんだろう?


 しばらく立ち止まったまま悩んだ末、わたしはゆっくりとその男の子に近づいていった。


「どうしたの? どこか痛い?」

 男の子の前にしゃがんで尋ねてみたけど、ぶんぶんと首を左右に振るばかり。


 うーん……こういうときって、どうすればいいんだろう?


 その子をなんだか一人にできなくて、わたしは隣のブランコに腰かけた。

 しばらくの間、その男の子の隣で小さくブランコを揺らしていると、男の子がぽつりぽつりと話しはじめた。


「……絶対にオレじゃないのに、オレが学校の花壇をめちゃくちゃにしたって、みんなが言ってくるんだ」

「そうなの?」


 男の子が、への字口でこくりとうなずく。


「サッカーボールが花壇の手前んとこに飛んでってさ。それ取りに行ったとき、オレ、花壇からネコが逃げてくとこ見たんだ。だから、犯人は絶対アイツなんだよ! でもみんなは、オレがサッカーボールで花壇をぐちゃぐちゃにしたって言うんだ。絶対に違うのに……」

 ブランコの鎖をぎゅっと握りしめる男の子の目に、涙の粒が膨らんでくる。