お母さんが、大きなため息を吐く。
「なにを言い出すのかと思ったら。スイーツ科に転科したいですって? 今までお菓子作りがしたいなんて、一度も言ったことなかったじゃない」
「本当は、ずっとしたかったよ。けど、言えなかったの」
「あなたの将来に関わることなのよ? 弁護士を目指すために、夢見学園の特進科を選んだんでしょう?」
「違う! 本当は、あのときだって、スイーツ科に行きたいって言いたかったの」
じわっと涙が滲む。
あのとき、もっと勇気を出して、ちゃんと言えばよかった。
「ちょっといいか」
わたしとお母さんの言い合いを黙って聞いていたお父さんが口を挟む。
「中学生は、今後の進路を決めるためにも大切な時期だ。それは、心愛もよくわかっているね?」
「うん」
「じゃあ、心愛は将来、どういう人になりたい?」
「わたしは……みんなを笑顔にできる人になりたい」
「それがお菓子作りだって、言いたいんだな?」
お父さんに問われ、大きくうなずく。
「わたしは、わたしの作ったお菓子でみんなを笑顔にできる人になりたいの。弁護士の仕事で、みんなを笑顔にしてるお父さんやお母さんみたいに。やり方は違っても、みんなを笑顔にできる仕事がしたい」
「なにを言い出すのかと思ったら。スイーツ科に転科したいですって? 今までお菓子作りがしたいなんて、一度も言ったことなかったじゃない」
「本当は、ずっとしたかったよ。けど、言えなかったの」
「あなたの将来に関わることなのよ? 弁護士を目指すために、夢見学園の特進科を選んだんでしょう?」
「違う! 本当は、あのときだって、スイーツ科に行きたいって言いたかったの」
じわっと涙が滲む。
あのとき、もっと勇気を出して、ちゃんと言えばよかった。
「ちょっといいか」
わたしとお母さんの言い合いを黙って聞いていたお父さんが口を挟む。
「中学生は、今後の進路を決めるためにも大切な時期だ。それは、心愛もよくわかっているね?」
「うん」
「じゃあ、心愛は将来、どういう人になりたい?」
「わたしは……みんなを笑顔にできる人になりたい」
「それがお菓子作りだって、言いたいんだな?」
お父さんに問われ、大きくうなずく。
「わたしは、わたしの作ったお菓子でみんなを笑顔にできる人になりたいの。弁護士の仕事で、みんなを笑顔にしてるお父さんやお母さんみたいに。やり方は違っても、みんなを笑顔にできる仕事がしたい」



