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 ずぅ~んと落ち込んだまま、翌日の放課後がやってきた。

 このままじゃダメだってわかっているのに、なかなかテンションが上がってこない。


「なにかあったのか?」


 クロくんにまで心配されて、そう問われる始末。


「いえ……」


 言えないよ。

 転科試験のことを両親に言えずにいる、なんて。


「それよりも、早く特訓をはじめましょう!」

 必死にありったけの元気をかき集めて明るく言う。


 そんなわたしのことをじっと見つめていたクロくんが、ゆっくりと首を左右に振る。


「いや。今日の特訓は中止だ」

「え……ちょっと待ってください。今日こそ合格したいんです。だから、お願いします!」

「ダメだ。まずはおまえ自身の問題を解決してからだ」


 そんな……。


 ゆっくりと顔を上げると、クロくんと目が合った。

 なんだか心の中まで見透かされてしまいそう。


「……親に、言えてないんです」

 思わず言葉が零れ落ちる。


「なにをだ?」

「転科……したいってこと」


 ずっと見ないフリをしてきた。

 けど、いつまでもそうしているわけにはいかないよね。