スイーツ王子は甘くない⁉

「そっかぁ。チョコって、自分で作れるんだぁ」

「当たり前だろ。でも俺、まだ全然ヘタクソだからさ。もっともっと練習して、うまいチョコがいっぱい作れる人になりたいんだ」


 こんなにおいしいチョコなのに?

 これでもヘタクソなの?


「わたしにも、作れるかなぁ」


 男の子が、チラッとわたしの方を見る。


「む、ムリだよね。だってわたし、お菓子作りなんてしたことないし。ごめんね、ヘンなこと言って」

 慌てて取り消すと、えへへっと笑ってごまかす。


「やりたいなら、やってみればいいだろ。やったことないからできないなんて、そんなの当たり前だし。だったら、できるまで練習すればいい」

 男の子が、どこまでもまっすぐな目でわたしのことをじっと見つめてくる。


「そ、そっか。そう、だよね」

 その視線に耐えきれず、わたしは思わずすっと目を逸らした。


 そんなこと言ったって……。

 わたしだって、やりたいよ? やりたいけど……。


「……わたし、帰って塾の宿題しなくっちゃ」

 わたしは男の子の方を見ることもできず、公園を飛び出した。