スイーツ王子は甘くない⁉

「なにそれ、あたしも行きたーい!」

「ねえ、春風さん。わたしたちもスイーツの勉強に連れていってほしいんだけど、頼んでみてくれない?」

「それいい! ねえ、春風さん、お願いっ」


 やっぱりそうなりますよね……。


「でも、すっごく忙しそうだから、わたしから頼むのはちょっと……」

「なにそれ。春風さんだけズルくない?」

「だよね。頼んでみるだけでいいからさ。ねっ、お願い」

「わたしたち、接点がないから話しかけるチャンスもないの」


 これ、本気で断ったら、わたし、どうやっちゃうんだろ?

 クラスでぼっち確定じゃない⁉

 でも、そんなことのためにクロくんに迷惑をかけるわけにはいかないし……。


 ……っていうか、そもそもわたし、元々ぼっちだし。

 これ以上怖いものなんてなくない?


「ごめんなさい。やっぱり、わたしからは頼めない」

 きっぱりと断って、頭を下げる。


「うっわ、サイアク」

「自分のことしか考えてないじゃん」

「もういいよ。行こ」

 ため息とともにキツイ言葉を投げつけると、ぞろぞろと教室を出ていった。


 はぁ~~~~。

 思わず深いため息が漏れる。


「女子こわっ」

 あちこちから男子のそんなささやき声が聞こえてくる。


 だよね~~!!

 思わず同意せずにはいられないよ。


 でも、とにかくこれでクロくんには迷惑をかけずに済むわけだし。

 これでよかったんだって思っておこう。