小学校のときは、あまりに毎日忙しくて、友だちが全然いなかったんだ。
大きなメガネをかけて、勉強ばかりしていたから、『がり勉』なんて陰で言われてたことも知っている。
そんな毎日がイヤになって、公園のブランコでぼーっとしてたこともあったっけ。
そんなとき、一人の男の子と出会ったんだ。
小三くらいのときだったかな。
「これ、やる」
すぐそばでぶっきらぼうな声がして、ぱっと顔を上げたら、小学校高学年くらいの男の子が目の前に立っていたんだ。
その子の手のひらの上には、アメみたいにキュッと両端を絞った包みがひとつ乗っていた。
思わずその包みをじっと見つめる自分に気がついて、わたしはぶんぶんと首を横に振った。
だって、知らない人にお菓子をもらったりしたら、お母さんに絶対に叱られちゃうから。
「心配しなくても、毒なんか入ってない。あ、ひょっとして食物アレルギー?」
男の子に尋ねられ、もう一度ぶんぶんと首を横に振る。
「そ。なら、やる」
持っていた包みをわたしにぐいっと押し付けると、男の子も隣のブランコに腰を下ろし、反対の手に持っていた包みの両端をキュッと引っ張って広げた。
包みの中から顔を出したのは、アメじゃなく——。
大きなメガネをかけて、勉強ばかりしていたから、『がり勉』なんて陰で言われてたことも知っている。
そんな毎日がイヤになって、公園のブランコでぼーっとしてたこともあったっけ。
そんなとき、一人の男の子と出会ったんだ。
小三くらいのときだったかな。
「これ、やる」
すぐそばでぶっきらぼうな声がして、ぱっと顔を上げたら、小学校高学年くらいの男の子が目の前に立っていたんだ。
その子の手のひらの上には、アメみたいにキュッと両端を絞った包みがひとつ乗っていた。
思わずその包みをじっと見つめる自分に気がついて、わたしはぶんぶんと首を横に振った。
だって、知らない人にお菓子をもらったりしたら、お母さんに絶対に叱られちゃうから。
「心配しなくても、毒なんか入ってない。あ、ひょっとして食物アレルギー?」
男の子に尋ねられ、もう一度ぶんぶんと首を横に振る。
「そ。なら、やる」
持っていた包みをわたしにぐいっと押し付けると、男の子も隣のブランコに腰を下ろし、反対の手に持っていた包みの両端をキュッと引っ張って広げた。
包みの中から顔を出したのは、アメじゃなく——。



