翌週の月曜日、今日からケーキの特訓がはじまる。
「ボクと一緒にがんばろーね、心愛ちゃん」
相変わらずフワフワした雰囲気のイチゴくんが、ほわぁ~っとした笑みを浮かべている。
なんだかこっちまでほわほわした気持ちになって、とっても癒される。
「それじゃあ、まずはふっかふかのスポンジケーキが上手に焼けるようになるまで、がんばろー!」
「おー!」
左手を突き上げるイチゴくんにつられて、わたしも同じように左手を突き上げ……。
なる……まで……?
若干の不安がよぎる。
いやいや、作る前から弱気になってどうするの。
クッキーだって合格点がもらえるものができたんだから、スポンジケーキだって、きっとなんとかなる……はず!
「それじゃあ、これがレシピだから。がんばって作ってねー。ふわぁ~~、春ってなんでこんなに眠たいんだろうねぇ~」
「え、ち、ちょっと、イチゴくん⁉」
大きなあくびをひとつすると、イチゴくんは窓際の日当たりのいい場所で丸まってすやすやと寝息を立てはじめた。
まるでネコみたいでかわいい……じゃなくて!
さっき『ボクと一緒にがんばろーね』って言ってたよね⁉
もうっ、無責任なんだから。
若干イラッとしつつも、イチゴくんのくれたレシピを見ながら、材料を計量していく。
ここまでは、クッキーのときと同じ。
えーっと、ボウルに卵と砂糖を入れる。
それを湯煎に当て、混ぜながら人肌まで温める。