スイーツ王子は甘くない⁉

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「一日遅れになってしまったけど、入学おめでとう」


 その日の夜、いつもより早く帰ってきてくれた両親が、中学入学のお祝いをしてくれた。

 パスタにピザ、それにポテトサラダとコーンスープ。

 好物ばかりが並ぶテーブルの上で、ひと際キラキラ輝いているのは、わたしがリクエストしたマカロンケーキ。

 大好きなマカロンとケーキが一度に食べられるなんて、本当に夢みたいなスイーツだよ。

 学校でのイヤなことなんて一瞬で吹き飛んで、一気にテンションMAXまで急上昇!


 昨日は、どうしても外せないお仕事があったみたいで、二人とも帰りがすごく遅かったの。

 そのくらいのことはもう慣れっこだけど、こうやって改めてお祝いしてもらえると、やっぱりうれしいなって思う。


「心愛は本当にがんばり屋さんだから、父さんと母さんの誇りだよ」

「そうね。中学は周りのレベルも高くて大変だろうけど、心愛ならきっと大丈夫」

「うん。わたし、がんばるね」


 両親の期待が重いって感じることもある。

 けど、わたしのことをいつだって考えてくれてるってわかってるから、わたしも精一杯期待に応えたいなって思う。

 だから……本当はスイーツ科に行きたかったなんて、絶対に言えないよ。