スイーツ王子は甘くない⁉

「あっ、おい、ズルいぞ、アズ」

「いいじゃないですか。エンはトップバッターなんですから」

「ボクは生クリームたーっぷりのケーキでおもてなししてあげるね」

「もてなしてどうする。心愛が作るんだろうが」

「いろんなところで浮気しても、結局最後には一番好きなチョコレートに戻ってくるんだよね、心愛ちゃん」

「それはどうでしょう。僕の深い深い愛情を込めた和菓子に勝るものはないと思いますが」


 な、なんか話がどんどんおかしな方向に行ってる気がするんだけど……。


「とにかく!」

 わたしが大きな声で口を挟むと、言い争いをはじめそうだった四人が黙ってぱっとわたしの方を見る。


 だ、だからイケメンの圧が……なんて言ってる場合じゃない。

 これは、あくまでもわたしが転科試験に合格するため。

 そのために、みんながせっかく力を貸してくれるって言ってくれているんだから、わたしも特訓に集中しなくっちゃだよ。


「えっと……みなさん、これから特訓よろしくお願いします!」