スイーツ王子は甘くない⁉

「さっそくだけど、心愛ちゃんは、どのスイーツから習いたい?」

 シロくんがわたしに尋ねる。


「あの、さっきクロくんにも言ったんですけど、わたし、スイーツ作りははじめてで。なので、初心者にオススメの順番があれば、教えていただけますか?」

「ははっ。そんなに固くならないで。敬語じゃなくていいし、もっと気楽にしてよ、心愛ちゃん」

「わ、わかり……うん、わかった。えっと……シロ、くん?」

「うん」

 ニコッと笑ってうなずくと、シロくんがもう一度口を開く。


「それじゃあ、チョコは今日大失敗しちゃったみたいだし、他のからはじめてみる?」

「そう……だね」

 あはははと引きつった笑みを浮かべるわたし。


 さすがに明日すぐにまたクロくんに会うのはちょっと怖い。

 特訓してくれるって最初に言ってくれたのはクロくんだけど、あの勢いでまた怒られたら、心が折れちゃうかも。


『このくらいで折れるようでは、本当にやりたいことではなかったということだ。さっさと諦めろ』

 なんてサラッと言われそうだけど!