スイーツ王子は甘くない⁉

 そうだよね。そんなことも知らないでスイーツ科に転科したいだなんて、勉強不足もいいとこだ。

「……本をいっぱい読んで、ちゃんと勉強してからもう一度来ます。本当にすみませんでした」

 それを聞いたクロくんが深いため息を吐くと、もう一度口を開く。

「ったく。今からそんなことしてて、試験に間に合うのか?」

「そ、それは……」


 だったら、どうすればいいっていうの?

 スイーツ科への転科は諦めろってこと?

 それだけは……絶対にイヤ。


 クロくんの顔を見上げると、わたしをじっと見つめるクロくんの視線とぶつかった。

 怖くて思わず逸らしそうになるを必死に堪えて見つめ返す。

「わたし、どうしてもスイーツ科に入りたいんです。だから、間に合うかはわかりませんが、後悔しないよう、自分のできることを精一杯がんばります」

「……」

 クロくんも、わたしをじっと見つめたまま目を逸らそうとしない。


 ……居心地が悪すぎる。せめてなにか言ってよぉ。


「……特訓」

「え?」

 わたしが聞き返すと、クロくんがわたしから視線を逸らしてぼそりと言う。

「俺が特訓してやる。これ以上材料をダメにされたら迷惑だ」

「え、でも……」


 勉強して出直してこいってことじゃなかったの?