そんな彼女と偶然再会したのは、中学の職員室だった。
スイーツ科の転科試験を受けたいという彼女の意志を、担任がばっさり切り捨てようとしていたのだ。
「——それって、その子の意志が全然入ってなくないですか?」
普段だったら、こんな面倒そうなところには絶対に首を突っ込んだりしないはずなのに、彼女の担任の態度が許せず、気づいたらそんなことを言っていた。
「先生、お願いします。わたし、どうしても試験を受けたいんです。もし受からなかったら、もう二度と転科したいって言いません。だから……お願いします!」
なんだ。ちゃんと言えるじゃん。
ずっと弱腰だった彼女が必死に担任に頼み込む姿をこっそり確認してから、俺は職員室を出た。
そんな彼女の一生懸命な姿が忘れられなかったからとはいえ、お菓子作り初心者の彼女に自分から指導を申し出るなんて……今考えたら、よくそんな度胸があったなと思う。
まあ、大事なチョコを台無しにされ、頭にきて怒鳴り込んだ時点で、彼女の俺に対する印象はサイアクなものになっていただろうが。
だから俺は、こっそり彼女の様子を見守ることにしたんだ。
これ以上怯えさせないために。
スイーツ科の転科試験を受けたいという彼女の意志を、担任がばっさり切り捨てようとしていたのだ。
「——それって、その子の意志が全然入ってなくないですか?」
普段だったら、こんな面倒そうなところには絶対に首を突っ込んだりしないはずなのに、彼女の担任の態度が許せず、気づいたらそんなことを言っていた。
「先生、お願いします。わたし、どうしても試験を受けたいんです。もし受からなかったら、もう二度と転科したいって言いません。だから……お願いします!」
なんだ。ちゃんと言えるじゃん。
ずっと弱腰だった彼女が必死に担任に頼み込む姿をこっそり確認してから、俺は職員室を出た。
そんな彼女の一生懸命な姿が忘れられなかったからとはいえ、お菓子作り初心者の彼女に自分から指導を申し出るなんて……今考えたら、よくそんな度胸があったなと思う。
まあ、大事なチョコを台無しにされ、頭にきて怒鳴り込んだ時点で、彼女の俺に対する印象はサイアクなものになっていただろうが。
だから俺は、こっそり彼女の様子を見守ることにしたんだ。
これ以上怯えさせないために。



