「クロ、くん? どうして……」
「へぇ~。おまえ、『クロくん』なんて呼ばれてんだ」
「っていうか、涼真が女子としゃべってるの、はじめて見たんだけど」
「この子? 特進科からスイーツ科の転科試験に受かったって子。あれ、誰も通れないように作られてるってウワサだけど、すごいね、君」
三人の知らない男子が、わたしを囲んで覗き込んでくる。
短髪で背の高い元気のよさそうな男子と、長めのさらりとした黒髪の物静かそうな男子、それに茶髪でちょっとチャラい雰囲気の男子。
だだだ誰⁇
「ちょっと。この子、僕らのこと見て怯えてない?」
「かわいー。そんな反応されたの、はじめてだわ。キャーキャー言われるよりぐっと来るんだけど」
「……おい、おまえら、ちょっと離れてろ」
クロくんが、ギンッ、と他の三人を睨む。
「えーっ。クロくんってば、こわ~い」
「琉生、やめろ、その呼び方」
クロくんがぐしゃっと顔を歪める。
「なんで……ホンモノ?」
みんな消えちゃったと思ってたのに。
クロくんは、違うの?
おそるおそるクロくんの方に手を伸ばしていき、クロくんの腕にそっと触れる。
ちゃんと触れる。
「クロくんは……消えたりしない?」
言った瞬間に消えてなくなってしまいそうで、声が震える。
「なんだよ、それ。消えるわけないだろ」
クロくんが、ふっと笑う。



