スイーツ王子は甘くない⁉

 ——イヤだ。離れたくない。

 けど、わたしがそんなワガママを言ったら、みんな困っちゃうよね?


 顔をうつむかせ、みんながくれたプラバンを両手でぎゅっと握り締めると、もう一度顔を上げる。


「……わたし、がんばる。みんなに教えてもらったこと、絶対に忘れないよ。今まで……ありがとう」

 わたしは、みんなに向かって、精一杯の笑顔を浮かべて見せた。


「バイバイ、心愛ちゃん」

「じゃあな、元気でな!」

「お元気で。がんばってくださいね」

「心愛ちゃん、ずっと応援してるからね」


 そう言うと、四人の姿は徐々にかすんでいき、やがて消えてなくなった。


「イチゴくん、エンくん、アズくん、シロくん……」

 ぎゅっとプラバンを握り締めたまましゃがみ込むと、わたしは我慢しきれず声を上げて泣いた。


「——心愛、いったいなにがあった⁉」

 突然聞こえた声に、涙は引っ込み、びくんっと肩が跳ねる。


 そっと顔を上げると、クロくんの心配そうな顔が目の前にあった。